こんばんは。
石﨑遊太です。
先日行われた表題のイベント(下記チラシ参照)について、学んだことや感じたことをこちらにまとめさせていただきます。
参加していることをSNSにアップしたところ、知らなかった(参加したかった)というリアクションを多数いただきました。
実は私もたまたま流れてきたSNS投稿で知っただけで、完全に勢いで参加することを決めました。(結構直前)
ゲストが豪華なことはもちろんですが、“議会から?首長から?日本を変えるのはどっちだ!?”というテーマが非常に興味深いではありませんか。
片道2時間越えの時間的・経済的コストは全く気になりませんでした。
(家族にはちょっぴり申し訳ない気持ち…)
まず、安芸高田市の石丸市長は今やYouTuberとして有名と言っても過言ではないほどの新進気鋭の若き首長。
よく市民の方々からも
「石丸さんいいよね~」
「ちゃんと石﨑君もYouTube観てる?」
「ああいう政治家を目指さなきゃダメだよ!」
などといった称賛の声が数多く聴かれます。
最初に確認しておきますが、私は石丸市長のやり方が全て正しいとは思っておりません。
むしろ議員の立場として、これは違うんじゃないのと思う部分も少なくありません。
私のような若手の部類に入る議員からの発言であれば、こう言っても老害とは罵られないでしょうか…(笑)
ですが、石丸市長の登場で、これまで関心すら持たれていなかった地方行政と地方議会に熱い眼差しが向けられるようになったことは間違いありません。
ここには大きな意義があると思っています。
これからの議会改革のスピードアップにもつながるでしょう。
ですからリモート登壇とはいえ、(勝手に)色んな感情を抱いていた石丸市長のお話が聞けることは、非常に楽しみでありました。
そして。もう1人のゲストである真鶴町の小林町長。
昨年11月、横須賀市議を辞職して真鶴町長選挙に立候補、見事当選を果たした首長です。
小林町長とは一度面識があったくらいの関係なのですが、SNSなどでの大変高度な行政分析は何度も拝見しておりました。
議員出身であるからこそわかる首長の意義と課題認識を、ぜひともお聞きしたいと思っていました。
サミットの前半は、このおふたりのプレゼン⇒対談および質疑という流れでした。
まずはこの前半部分からまとめたいと思います。
石丸市長が導入プレゼンでおっしゃっていたことは、まとめると下記のようになるかと思います。
- 今から30年後の“悲惨な”現実を直視できているか?
- 人口減少で今と同じ社会システムは絶対に続かない
- 地方の政治が非常に大事になってくる時代である
- 扶助費の増加&ハコモノとインフラの更新に立ち向かわなければならない
- 行政と議会との関係は、アクセルとブレーキである
- よく車の両輪に例えられるが、大きな間違い
質疑への答弁も非常にわかりやすく、ウィットに富んだジョークも交えられる機転の利き方。
事前にわかっていたことですが、非常に頭脳明晰な方であることをあらためて感じました。
「とにかくこどもたちの未来が不憫で仕方なかった、とにもかくにもこどもたちを困らせたくなかった、だから市長になろうと思った。」
というとってもピュアな動機には敬意を抱きましたね。
また、印象的だったのは
「市民の代表は首長ではなく議会である(だから市民の声を聞きますなんて言葉は使ったことがない)」
という発言です。
後述する小林町長のお考えともある意味で合致するわけですが、もし自分が首長だったら…という話はさておき、あくまで執行部たる行政区のトップとして自治体経営に専念するんだという姿勢の一貫性には、一定の納得感がありました。
一方、小林町長のプレゼンで主に述べられていたことは下記の通りです。
- 「正義」は一つではない(たくさんある)が、決めなければならない
- 何が正解かを決める仕組み=議会制民主制
- 二元代表制は“ヨコ”ではなく“上下”である
- 会社で例えると株主=住民、取締役=議会、社長=首長(監督と執行の分離)
- 欧米では首長が2人いることが一般的
- 名誉職としてのMayorと実務職としてのCity Manager
実に論旨明快なプレゼンテーションでした。
議員の立場ではなく、首長の立場で言うからこそ説得力が段違いに高くなるのだと思います。
3点目の名誉職と実務職が分かれているという海外の実情は、お恥ずかしながら全く存じ上げませんでした。
この名誉職を議長が務めることが多いそうで、真鶴町も議長を「メイヤー」として任命し、催事などには議長が出て町長自身は実務に専念するというシステムを早速実装したそうです。
石丸市長とは事前の打ち合わせが無かったにもかかわらず、行政と議会の関係が車の両輪でなはない、という話に帰結するのが面白かったですね。
おふたりの主張で根本的に異なると感じたのは、首長から議会へのアプローチの仕方について。
石丸市長はブレーキ役である議会の例え話として、
「皆さんは自動車のブレーキが壊れたらどうしますか?まず修理しようと思うだろうが、それで済まない場合は交換するしかない」
として、議会の総とっかえも辞さない上に議会への根回しを“諸悪の根源”と呼んで嫌うスタンス。
対する小林町長は、まず必要なデータや根拠をきちんと情報提供し、議会で十分に議論してもらう。
その上で必要な根回しは喜んで行う、というスタンス。
小林町長、市議時代のイメージとは正直に申し上げてかなり変わった印象を受けましたが、私は小林町長の考え方が納得感がありました。
ただ、だからといって議会が変わらなくていいというわけではありません。
石丸市長が抱く議会の問題については私も議員として真摯に受け止めなければなりませんし、実際に変えていきたいと思っている部分もたくさんあります。
とにかく、石丸市長がぐうの音も出ないくらいの議員活動を展開していきたいものですね。
最後に彼がおっしゃっていた『国政や県政が基礎自治体に介入しすぎていること(都道府県と基礎自治体の役割は明確に分かれているのに、繋がっていることが良いことのように思わせていること)』への問題提起に対しては、大いに賛同しました。
口を開けば「国と県と市の連携が~」と高らかに発言する某政党への苛立ちが募ります。
…おっと愚痴はこの程度にしておきましょう。
質疑はたくさん出たのでここでは割愛しますが、私も僭越ながらおふたりに質問したことのみ記載します。
聞きたいことは山ほどあったのですが、他の方の質問との差異化も含めて、下記の点を尋ねました。
小林町長は「議員選挙が大切だ」とおっしゃっていましたが、今の地方議員選挙には多くの候補者から1人を選ばなければならないという意味で、有権者にとっては非常に大きなストレスがかかる実情がある(特に現代は一昔前のようにイデオロギーや政党で違いが分かりやすかった時代ではない)。選挙制度について思うことをお聞かせ願いたい。
おふたりとも互いの意見に同意されていたように感じたので、回答をまとめると、
- 政策やイデオロギーといった争点は無くていい(争点を際立たせるとおかしなことになる?)
- 候補者の人となり(良識の有無など)で選べばいい
- 安芸高田市はYouTubeを見たらそれがわかる
本当は「どういう風に候補者を選べばよいか」ではなくて、「そもそもの選挙制度をこういう風に改めるべき」という部分が聞きたかったのですが…私の質問の仕方が下手くそだったので引きました。
私も政策云々よりも人となりで判断すべき、という考えには同意します。
(もちろん、各政策カテゴリに対しての基本的なスタンスは堅持しているという前提)
ただし、実際に選挙を体験した身として感じるのは、選挙期間の1週間やそこらで人となりを伝えるのは非常に難しいということです。
そもそも「人となりで判断しよう」などと議員選挙に対して熱い気持ちを持ってもらえるためにはどうしたらいいんだろう…
悩みは尽きませんね。
とにもかくにも、若く優秀なおふたりの首長のお話が聞けて、大変勉強になりました。
後半は、「首長選に挑んだ議員たち」というタイトルのパネルディスカッションでした。(チラシ右参照)
実は後半のお話を聞きたかったというのも、今回足を運んだ理由の一つでした。
ご自身の選挙区の議員としてトップ当選を果たしていた中で、あえて厳しい首長選への挑戦をしたおふたりです。
それぞれの出馬までの経緯を簡単にまとめます。
さんのへあやさん
地盤の無い手作りの選挙で、3,630票を得て初当選
8,935票という同区内歴代最多票での当選
前区長が公職選挙法違反の疑いで関係先を捜索された責任を取り、辞任したことによる選挙
30,132 票の得票を得るも、複数の政党支持を受けた候補に惜敗
土屋由希子さん
1,374.388票を得て、初選挙ながらトップ当選
4,570票の得票を得るも、現職に惜敗
結果的に選挙には敗れたものの、その目に悲壮感はなく、むしろ次の目標への活力にみなぎっている感じでした。
とにかく議員から首長を狙うタイミングの速さに驚きます。
それだけ切羽詰まった状況だったということなのでしょう。
主に首長選に至るまでの状況や経緯が語られたわけですが、その詳細は割愛します。
というよりここで私が伝聞調で語るには申し訳ないほど熱いお話だったので、気になる方は是非ご本人のブログやSNS、記事などでご確認ください。
※後半のパネルディスカッションについては後日アーカイブ配信もあるそうなので、確定したらURLを追記したいと思います。
【2/4更新】下記に動画URLを追加しました!
とにもかくにもおふたりからにじみ出ていたものは、首長選のいびつさや保守的な議会の機能不全に対する怒りと、自分たちの地域を最短で良くしていきたいという決意の強さでした。
まずもって、トップ当選の議員という立場にあぐらをかくことなく、新たな挑戦を決意したその姿勢に強い敬意の念を抱きます。
私もこの歳で議員を務めさせていただいている以上、『自分が首長だったらどんなまちにしていきたいか』について考えるのはごくごく自然なこと。
でも、議会で成果を残せないのに、首長になって結果が出せるわけがないと思っています。
だからとにかく今は、議員の仕事に一心に取り組むことしか考えていません。
ですがそんな中で、さんのへさんと土屋さんの挑戦のお話を直接お聞きできたことは、非常に大きな刺激となりました。
あっという間の約3時間。
前半後半含め、孤軍奮闘している自分の背中を押していただけた気分です。
国の政党に縛られない地方政治の在り方を考えていくべきだと思っていたので、もっとはやく地域政党サミットのことを知りたかったです。
(私の勉強不足のせいなのですが…)
この場をお借りして関係者の皆様に御礼申し上げます。
所感は以上になります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
石﨑遊太