【令和6年第3回定例会】一般質問 全文書き起こし

令和6年第3回定例会のうち、9月6日に行われた一般質問について、私が書き起こした全文をアップします。

一般質問については、以前の投稿(初めての一般質問を終えて)で概要をご説明しておりますので、よろしければご覧ください。

※展開がわかりやすいように、吹き出し風に文章を適宜挿入します。

※行政からの答弁については、青い囲み文字で記します。

※議場での発言には議長の許可が必要なので、実際には議員、職員ともに発言ごとに挙手→議長からの許可の流れがありますが、ここでは便宜的に省略します。

「一般質問なんて聞いたことがない」

「聞いていてもつまらない」

そんな感想をお持ちの方も少なくないと思います。

私としてもそのお気持ちがよくわかるので、手元に資料がなくても話の流れがつかみやすいように、構成や原稿は頑張って工夫しているつもりです。

早いもので、議員となってから6回目の一般質問となりました。

毎回成長を実感していただけるような質問にしたいと思って取り組んでいますが、ご意見等いただけるとありがたく思います。

ご興味のあるカテゴリだけでも、拾い読みしてもらえたら幸いです。

※発言の内容は下記の通告書通りになります。

【石﨑】一般質問 発言通告書

1.こども政策について
(1)少子化の現状と今後
(2)支援の枠組みと方向性

(3)個別施策の取り組みと課題


2.行政運営のガバナンスについて
(1)行政評価の実施状況
(2)チェルSeaみうらの整備と今後

※クリックすると該当部分にジャンプします(画面右下の矢印ボタンで最上部に戻れます)

!!注意!!

下記の文章はあくまで私がYoutubeでのアーカイブ配信を個人的に書き起こしたものであり、正式な議事録ではありませんのでご了承ください。

議事録がアップされましたらこちらにそのリンクを追記する予定です。

以下発言

石﨑遊太

無所属の石﨑です。

ただいま議長から発言の許可を頂きましたので、一問一答方式で質問を行わせていただきます。

内容につきましては、発言通告書どおり、1、こども政策について、2、行政運営のガバナンスについての2点となります。よろしくお願いします。


目次(クリックで飛べます)

こども政策について

石﨑遊太

まず初めに、こども政策から取り上げますが、1の(1)番、少子化の現状と今後についてです。

今年の3月1日時点で本市の人口が4万人を割り込んだことが分かりました。
この事実が各種メディアで取り上げられたこともあり、この人口減少に伴う今後の市政運営について不安を感じている市民の方も少なくないと思います。
こども政策の前段として、この領域の拡充が重要であることを示すためにも、若年層に絞った人口に関する各種データを確認していきたいと思います。
まず、本市における現在の年少人口、すなわちゼロ歳から15歳未満の人口についてお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

神奈川県年齢別人口統計調査における本市の年少人口は、令和6年1月1日現在で3,067人でございます。

平成29年に示された第4次三浦市総合計画における令和7年の人口の目標値は3,700人となっています。
既に令和6年の現時点でこの目標値を600人以上下回ってしまっているわけですけれども、この乖離の要因について伺います。

矢尾板昌克政策部長

第4次三浦市総合計画(2017年版)策定時におきまして、令和7年度の本市の総人口は4万900人と推計されました。これに対し、総合計画では、人口減少下においても豊かな明日、元気で魅力的な三浦市をつくるための総合的な施策の展開により、令和7年度の総人口約4万1,200人を目指すこととしており、推計値に対し、加算された300人は基本的には年少人口に対するものでございました。
年少人口の減少を抑制するため、本市財政力において可能な限りの子育て施策を展開してまいりましたが、社会減や出生数の低下を食い止めるに至らず、令和6年1月1日現在の年少人口では目標値を下回る基準となっております。

本市における令和7年の人口推計は4万900人であったということですが、ここも現時点の数と乖離がある状況です。
ただ、この数値は国立社会保障・人口問題研究所が出したものでしょうから、数値の根拠については触れません。
いずれにせよ、これまでに打ち出してきた子育て施策では社会減や出生数の低下を食い止められなかったということになります。
ここを深掘りするために、少し切り口を変えて、若年層と言われる15歳から34歳の社会増減の推移について伺おうと思います。
念のため確認ですが、社会増減とは転入人口と転出人口の差になります。
以前から年少人口が少ない傾向であった本市の人口構成において、各年度における単純な総人口の比較を行ったとしても、増減の要因が見えてきません。
ですから、若年層の総人口ではなく、社会増減の推移を確認する必要があります。要は若年層という限定の中で転入者と転出者がどれぐらいいるのかという傾向が知りたいということです。
若年層の社会増減の推移について、直近の数値で構いませんのでお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

神奈川県年齢別人口統計調査における本市の15歳から34歳の人口の社会増減は、令和3年が転入459人、転出595人で136人の減、令和4年が転入481人、転出641人で160人の減、令和5年が転入516人、転出675人で159人の減となっており、減少傾向が続いている状況でございます。

社会増減という観点で見てもマイナス傾向が続いているということです。
若年層ということでいえば、高校や大学の卒業後、就職のために本市を離れる方が少なくないことは容易に想像ができますから、この層において転出数を上回る転入数を確保するというのは簡単な話ではないのだと思います。
しかし、この部分の改善を実現しなければ年少人口の増加が見込めないこともまた事実だと思います。

さて、年少人口の増加ということを考えると、若年層の社会増だけではなく、有配偶率、すなわち配偶者がいる人口の割合も重要な指数となってきます。
この有配偶率について、本市はどのような推移となっているのか伺います。

矢尾板昌克政策部長

令和2年国勢調査における本市の有配偶率でございますが、25歳から29歳では男性が17.3%、女性が28.1%、30歳から34歳では男性が36.6%、女性が48.3%、35歳から39歳では男性が46.3%、女性が57.9%となっております。
他方、平成27年の国勢調査における本市の有配偶率でございますが、25歳から29歳では男性が19.2%、女性が28.9%、30歳から34歳では男性が36.9%、女性が47.7%、35歳から39歳では男性が50.2%、女性が62.1%であり、30歳から34歳の女性を除きまして、いずれの区分でも減少している状況でございます。

今答弁のあった配偶率の状況をどのように分析しているのか伺います。

矢尾板昌克政策部長

令和2年国勢調査における神奈川県の全体の有配偶率でございますが、25歳から29歳では男性が23.6%、女性が33.3%、30歳から34歳では男性が50%、女性が61.4%、35歳から39歳では男性が63%、女性が72.5%であり、三浦市の有配偶率は、いずれの区分におきましても神奈川県全体の数値を下回る結果となっております。
このことから、三浦市の有配偶率は、県内の他市町村と比べ、非常に低い数値であるものと捉えているところでございます。

婚姻するしないは本人の自由でありますし、近年の晩婚化の傾向を鑑みると、有配偶率の数値だけで良い悪いを論じることはできませんが、ここの低さが本市における少子化傾向の要因の一つになっていることは事実かと思います。

もう一つ、年少人口に影響する数値として合計特殊出生率、すなわち15歳から49歳までの女性の年齢別出生率を合計したものが考えられますが、この部分の推移についてもお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

神奈川県衛生統計年報における本市の合計特殊出生率は、令和3年が1、令和2年が0.86、令和元年が0.95、平成30年が1.03、平成29年が1.12であり、減少傾向であったところ、令和3年には回復を見せている状況でございます。

先ほどの有配偶率の質問と同様になりますが、この合計特殊出生率の状況をどのように分析しているのか伺います。

矢尾板昌克政策部長

神奈川県衛生統計年報における神奈川県全体の合計特殊出生率でございますが、令和3年が1.19、令和2年が1.2、令和元年が1.23、平成30年が1.28、平成29年が1.29であり、三浦市の合計特殊出生率は、いずれの年におきましても神奈川県全体の数値を下回る結果となっております。
このことから、三浦市の合計特殊出生率は、有配偶率同様、県内の他自治体と比べ、非常に低い数値であるものと捉えているところでございます。

子どもを産む産まないというのは他人に強制されるものではないことだと思いますが、県内比較でもここまで差が出ているということは、本市において、子どもを産みにくい、もしくは子どもを産みたい方が転入してこない要因というのが何かしらあるはずです。

いずれにせよ、これまで確認した本市の年少人口や若年層の社会増減、有配偶率、合計特殊出生率は、いずれも減少基調となっていることが分かりました。少子化を是正の対象として捉えた場合は、なかなか厳しい現実です。こうした現状について、どのような点が課題だと認識をしているのかお聞かせください。

吉田英男市長

年少人口ですとか若年層の人口の数、有配偶率、合計特殊出生率の現状や推移から、本市の少子化の状況、これは極めて深刻であるというふうに認識しています。
これに対しまして、現在、移住も含めた子育て世代に対する施策に力を入れて取り組んでおりますが、これは今後も継続していく考えであります。
 少子化対策、ひいては人口減少対策にとっての大きな課題というのは、特に駅周辺区域というところに本市にとって重要な区域が位置づけられていますが、その地域に市街化調整区域が多くて、人口の増加ですとか地域振興のための有効な土地利用を図ることができないということが問題であるというふうに認識しています。
こうした課題を少しでも解消していくため、柔軟な土地利用を図ることができるよう、機会を捉えて国や県に働きかけを行っていくという考えでございます。
つまり、利便性の高い地域の土地の活用というものをもう少し柔軟にできないかということを課題として捉えているということでございます。

確かにこれまでの一般質問でも確認してきましたとおり、移住を含めた子育て施策の拡充、ここに本市が積極的に取り組んでいることはよく理解しているつもりです。
今答弁にもあった市街化調整区域の多さにより有効な土地活用が難しいというところは、都市計画上の少し大きな枠組みでの分析になると思いますが、私も実際に都心からUターンして戻ってきた身でありますから、実感としてよく分かります。
ここは一朝一夕で実現できることではありませんから、国や県との粘り強い交渉を引き続きお願いしたいと思います。

さて、少子化の現状を実際の数字で聞いてきましたが、こういった実績に対してどのような目標設定をして取り組んでいくのかを確認したいと思います。
まず初めに、社会増減の数値目標についてお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

第4次三浦市総合計画後期実施計画では、基本計画である「三浦市への新しいひとの流れをつくる」に対する数値目標として、令和3年から令和7年の社会減の合計数を89人と設定しております。この89人という数値は、第4次三浦市総合計画(2017年版)における人口目標の基礎とした、平成27年10月策定の三浦市人口ビジョンにおける市独自推計の数値でございます。
目標の検討時における社会減の実績値は、平成30年が197人、令和元年が213人でありましたが、令和2年には社会減の数値が減少に転ずる傾向も見られたことから、令和3年から令和7年におきまして、具体的な施策を着実に実施して社会減を抑制することを目指し、この目標を設定することとしたものでございます。

社会増、すなわち転入数が転出数を上回るという目標設定は現実として厳しいので、社会減の人数を5年間で89人に食い止めると、そういった目標を立てているとのことです。
次に、合計特殊出生率の目標設定について伺わせてください。

矢尾板昌克政策部長

同じく第4次三浦市総合計画後期実施計画では、基本目標である「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」に対する数値目標として、令和7年の合計特殊出生率を1.4と設定しております。

それぞれの目標値について確認をさせていただきました。
この小項目の最後になりますが、こうした目標を実現するためにどのような事業を展開しているのか、概要で構いませんので、あらためてお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

後期実施計画における社会減の目標達成に対する事業としましては、整備が完了した子育て賃貸住宅整備事業や移住定住促進事業を実施しているところでございます。
また、合計特殊出生率の目標達成に資する事業としましては、結婚支援事業や小児医療費助成事業をはじめとする子育て関連の事業、グローバル教育推進事業をはじめといたします小中学生の教育関連の事業などを実施しているところでございます。
結婚支援事業につきましては、従来の婚活イベントの実施に加えまして、今年度から、三浦市で新生活をスタートする新婚世帯の住宅の取得費用、賃貸費用、引っ越し費用等の一部を補助する制度を始めたところでございます。

少子化の現状と今後について聞かせていただきました。
移住政策も含めた少し広い視野で現状を確認しましたので、ここからはもう少し範囲を子どもに関する政策に絞って質問を展開していきます。

石﨑遊太

(2)番、支援の枠組みと方向性についてです。

令和6年4月に施行されたこども基本法第10条において、こども大綱を勘案したこども計画を策定することが自治体に求められています。
本市においてこの計画をどのような位置づけで策定するのかお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

こども計画は、市町村の子ども施策に関する計画と一体化して策定することができるとされております。
本市では、令和元年度に地域の実情に応じた子育て支援の取組の基盤となる第2期三浦市子ども・子育て支援事業計画を策定しており、本計画が今年度改定年度を迎えることから、本計画をこども計画と一体のものとして位置づけ、策定作業を進めているところでございます。

現在の計画の改定に合わせ一体化して策定するとのことですが、策定作業中のこども計画と現行の子ども・子育て支援事業計画との違いはどのようなところにあるのかを伺わせてください。

齊藤正史保健福祉部長

現行の計画との違いの一つは、こども計画はこども大綱を勘案して策定するものとされているため、現行計画に新たにこども大綱に示されている内容が加わることであります。
具体的には、子どもの貧困や若者支援などの内容を新たに盛り込むことを想定しております。
さらに、こども計画の策定に当たっては、子ども自身の意見を聴取し、計画に反映することが求められていることから、このような取組を新たに行うことも現行計画との違いとして挙げられるところでございます。

こども計画は従来の計画に比べより広範囲なものであり、質、量ともに拡充すること、それに応じて策定業務自体も大きなものになると理解をしました。
それでは、現在の進捗状況と今後のスケジュールについて伺います。

齊藤正史保健福祉部長

計画策定のために必要な子どもと子どもに関わる市民の意見を聴取する取組として、令和6年7月にこども部会を、令和6年8月にこどもまんなか市民会議を開催いたしました。
また、子育て世代のニーズの把握と計画の数値目標の設定のためのニーズ調査を令和6年8月に実施しております。
現在、計画の骨子案を調整しているところでありまして、年内にはその骨子案を子ども・子育て会議において審議する予定となっております。
また、年明けにはパブリックコメントを実施し、その結果を受け、子ども・子育て会議の審議を経て、年度内には計画の完成を見込んでおります。
なお、令和7年4月より、5年間の計画を開始する予定となっております。

着々と進んでいることが分かりました。
今年度、既にニーズ調査を実施したとの答弁がありましたが、アンケートの送付数や回答率など実施状況をお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

本年4月24日から8月9日にかけてニーズ調査を実施いたしました。対象は小学生以下の子どもを持つ保護者であり、送付数は1,500件であります。令和6年8月末時点での回収数は611件であり、回収率は40.7%となっております。

冒頭で確認した年少人口の数を考えると、かなり大規模なアンケートであることが分かります。実際にアンケートに回答した市民の方からは、質問が非常に多岐にわたるもので、ある程度の時間と労力が必要であったと伺いました。
そう考えますと、今回の40%超えという回収率の高さは、保護者の方々の子育て支援に対する切実な思いが詰まっているんだと思います。
一方で、前回のニーズ把握の際のアンケート回収率は46.6%と公表されており、今回少し回収率が落ちていることも事実です。
これは提言となりますが、より多くの方の意見を反映させるためにも、そして返送に係る費用や集計の手間を考えても、次回の調査では、紙ベースだけではなく、オンラインでの回答も行えるようにするべきだと考えます。
ご検討ください。

さて、先ほど答弁にもあったこどもまんなか市民会議についてです。子どもと子どもに関わる市民の意見を徴収する取組になるわけですけれども、まず、会議はどのようなメンバーで構成されるのか、人数も含めてお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

構成員は、小中学生、高校生、大学生などから成る子ども・若者代表が8名、育児サークルなどの子どもを支援する団体の代表が3名、幼稚園、保育園など子どもに関わる事業者等の代表が4名、教育機関の代表が1名、合計16名となっております。
また、こどもまんなか市民会議に設置されているこども部会は、小学生が9名、中学生が6名、合計15名が構成員となっております。

構成メンバーについて承知をしました。先月、実際に行われた会議はどのような内容で実施されたのか、概要を伺います。

齊藤正史保健福祉部長

議題といたしまして、会議の前段において、事務局より意見聴取の取組の根拠となるこども基本法の概要を説明したほか、市が現在実施している子ども施策や市の人口構成など、市の子育て環境の現状について報告を行いました。
また、「将来どんな三浦市に住みたいか」をテーマに議論を行ったこども部会の意見をこども部会の代表の小中学生が発表いたしました。
さらに、これまでの議題を踏まえ、構成員全員がそれぞれの立場からの子ども施策に関する考えを自由に述べてもらう意見交換を行っております。

初めての取組ということで、企画側としても手探り状態な部分があったかと思いますが、課題として認識したことがあればお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

大変多くの意見や考えが述べられ、それらを参加者が共有できた一方で、出された意見は多分野に及んでおり、これらの意見を集約して政策反映に結びつけることは大変難しいと捉えております。
また、出された意見に対するフィードバックも重要であり、これらの手法については、庁内関係部署とも連携し、検討してまいりたいと考えております。

出た意見を政策に反映するまでの手法の確立、この難しさは今どの自治体も頭を抱えている部分だと思います。
今回、こども計画にひもづく形で行われたこどもまんなか市民会議ですが、計画が完成した新年度以降も継続して実施していく予定があるのか伺います。

齊藤正史保健福祉部長

本会議はこども計画に反映できる反映できる意見を聞く場でもありますが、それだけではなく、策定後も、計画の事業の進行管理や、様々な市民の活動において意見の内容を生かした取組を推進するためにも、意見聴取の場は必要であると考えております。
来年度以降は、今回出された意見を基にテーマを絞って議論を深めるなど、継続して会議を開催し、意見聴取の取組を継続したいと考えております。

何らかの形で継続して取り組んでいくとのことです。
意見反映の意味は、本来、出された意見に対して行政が採用、不採用の判断をするというものではありません。意見を受け止め、必要であればその意図や背景の理解も再質問などで互いに深め合い、担当課の政策に落とし込んでいくという対話のプロセスこそが重要なのだと思います。
簡単な話ではありませんが、例えば直接的な政策への反映を一義的な目的にしてしまい、不自然な形で議論の誘導や矮小化が起こらないよう、十分に注意していただきたいと思います。
また、会議に参加しなかった、もしくはできなかった子どもや関係者の声をどう拾っていくのかというところも重要な課題になってくると思いますので、引き続き検討をお願いします。

さて、こどもまんなかの取組でいうと、令和5年度に子育て支援・こども応援ネットワーク事業が立ち上がったと把握しています。
どのような経緯でできたものなのかお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

市内で子どもや子育て世帯を支援する団体が子どもたちのために様々な活動を行っておりますが、どこでどのような団体が活動しているのか市としても把握が難しく、市民への情報提供も十分にできない状況でありました。
そこで、市のホームページを活用して様々な団体の情報を一元化することで、市も団体の活動を把握でき、市民にも有効に情報提供ができると考えて事業を開始いたしました。

現在の登録団体の数、そして、具体的にどのようなことを行っているのかをお伺いします。

齊藤正史保健福祉部長

登録団体数でございますが、令和6年9月1日時点で10団体となっております。
登録団体の情報をホームページで掲載しているほか、SNSに各団体の情報を発信したり、市に届いた国や県からの情報などをメールにより提供しております。

登録団体数は10、現状は行政からの情報発信がメインとなっているとのことです。
まだ始まったばかりで、これから事業内容も拡充していくことが望まれると思いますが、今後の取組の方向性について伺います。

齊藤正史保健福祉部長

令和5年度に事業を開始いたしましたが、まだ登録数も少ないため、団体数が増えるように工夫して事業を進めていく必要があると考えております。
そのために、市からの情報提供だけにはとどまらず、各団体同士が情報共有を図れるようデジタルツールを活用するなど、団体同士の交流につながるネットワークづくりを今後進めてまいりたいと考えております。

ネットワークという表題もついてくるわけですから、行政からの情報提供にとどまることなく、それぞれの団体同士のコミュニケーションが促進されるような仕組みづくりをお願いします。
そういった流れの中でネットワークに参加するメリットが増えていけば、おのずと登録団体数も増えていくのだと思います。
デジタルツールを活用するという具体的な方向性も出ましたので、これからの拡充に期待をしております。

ここでお昼休憩

石﨑遊太

さて、子育て支援に関する土台の部分といいますか、総論を確認させてもらいましたので、各論、具体的な施策に話を移したいと思います。

(3)番、個別施策の取組と課題についてです。
まず、妊産婦支援の部分になります。
市の取組として、新生児が生まれたご家庭に出向いて育児相談を行う赤ちゃん訪問がありますが、令和5年度の対象者と実際に訪問した人数を伺います。

齊藤正史保健福祉部長

令和5年度の出生数は120名であり、訪問者実人数は125名となっております。
訪問実人数の中には、前年度末の出生で、年度をまたいでの訪問したものや、市外に住所があり、産後に三浦市へ里帰りをしている方への訪問も含まれております。
在宅の子どもには全件訪問しており、長期入院となっている場合には、必ず産婦訪問や電話連絡により子どもの状況を確認しております。

全対象者に対して何らかのアプローチができているということです。
新生児訪問、未熟児訪問、乳児訪問は他の自治体でも行われている事業かと思いますが、本市の赤ちゃん訪問について工夫している点があればお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

妊娠中から伴走型相談支援として、助産師や保健師等が寄り添った支援を心がけております。
妊娠届出や妊娠8か月の際に面接や電話対応した助産師、保健師等が赤ちゃん訪問を行い、子どものための健診の案内や予防接種の受け方の説明、産婦の心身の回復をサポートする産後ケアの案内を行っております。
また、子どもの発育や産婦の心身の状況に応じて再訪問を行うこともあり、三浦市ならではの顔なじみの専門職による支援を継続することができ、妊産婦の方の不安や負担の軽減を図ることににつながっていると認識しております。

今答弁の中にもありました顔なじみの関係での伴走支援、ここは他の大きな自治体ではなかなか真似のできない本市の強みなのだと思います。
さて、過去の質問でも何度か取り上げている妊産婦へのタクシー助成事業についてです。
こちらは妊産婦の経済的負担を軽減し、健やかな出産を支援するため、母子健康手帳を交付する際に、1人当たり1冊20枚、計1万円分のタクシー券を給付する事業になります。
令和5年度の利用実績と利用者の人数について伺います。

齊藤正史保健福祉部長

利用実績は1,159件、利用者実人数は95人となっております。

過去の実績も含め、妊産婦さんがどのタイミングでタクシー券を使っているのか、あるいは使っていないのか、集計や分析はできているのでしょうか。
ある程度の傾向でも構わないのでお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

現在、令和4年度及び令和5年度の利用実績から、妊娠期のどの時期にタクシー券を利用されているのかを集計しているところです。
したがいまして、分析までには至っていない状況にあります。

ここの分析をやるべきだとかねてから要望してきましたが、まだできていないということです。
本事業もスタートしてから4年目となっています。
こんな初歩的な分析は、本来であれば単年度ごとに実施すべきだと考えていますので、早急な集計と分析をあらためて要望します。
タクシー券の使いやすさも含め、妊産婦さんが望むものと実際のサービスの間にギャップを感じる部分が少なくありません。
特に本市は残念ながら市内に産科がない、市内で分娩が行えない状態となっています。
産科の誘致が難しいのであれば、例えば、少なくとも陣痛が起こった際には自己負担なくスムーズに産科に行けるような移動支援を確立させることなど、事業を政策的に展開することが絶対に必要だと思います。
神奈川版ライドシェア、かなナライド@みうらも実証実験が行われている最中ではありますが、陣痛タクシーを含め、こうした福祉的な側面での移動支援にも活用されるべきなのではないでしょうか。
このあたりは、担当課をまたぐ検討課題として提言をさせていただきます。

続いて、産後ケア事業についてです。令和5年度のサービス別の利用実績について伺います。

齊藤正史保健福祉部長

宿泊サービスゼロ件、デイサービスゼロ件、訪問サービスは51件となっております。

昨年の一般質問でも確認したところですが、令和4年度の利用実績としては、宿泊型、デイサービス型がゼロ件、訪問型は21件だったと記憶しています。
訪問サービスの利用は倍以上になっている一方で、宿泊型、デイサービス型の利用は2年連続でゼロ件だということになります。
個人的な意見として、この利用ゼロ件という部分については、受入施設が公開されていないことが1つの要因だと思っているのですが、ここについてどうお考えかお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

新生児訪問等で助産師や保健師等が、産婦の方に対し個別に事業内容や実施期間の周知を行っております。
その際に、訪問サービスは、都合のよいときに気軽に専門職が訪問してくれる、利用しやすいということで、ニーズが高いと把握しております。
今後は、宿泊型やデイサービス型についても利用するサービスのイメージがよりしやすくなるよう、その受入施設の情報について、市のホームページやチラシに掲載して周知してまいりたいと考えております。

本市の訪問型の産後ケアは、1回2時間当たりワンコイン500円で利用できるということで、魅力的なサービスであることは間違いないと思います。
訪問サービスの事業を委託する自治体もある中で、本市は直営で運営をしており、顔なじみの専門職員が来てくれる安心感というのも大きな魅力です。
ここは継続してほしい一方で、宿泊型とデイサービス型についても、産後に不安を抱える産婦さんの大切な選択肢として、もう少し踏み込める部分があるのではないでしょうか。
答弁いただいた部分ですが、まずは受入施設のイメージができること、ここの改善に努めていただきたいと思います。

さて、令和5年6月に産後ケアがユニバーサルサービスであること、すなわち誰もが等しく利用できるサービスであることが、こども家庭庁の母子保健医療対策総合支援事業実施要綱に明記されました。
これまで産後ケアというと、本当に困った人しか利用できないというイメージが先行しがちでしたので、ここは大きな転換点であったと思います。
この部分について、本市はしっかりと周知ができているのかお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

新生児訪問等において、産後ケアはどなたでも受けることができるサービスであるとの周知を行っており、訪問サービスの利用件数は増加しております。
引き続き、専門職による事業の説明を丁寧に行い、市のホームページやチラシの内容について、分かりやすいものになるよう見直してまいりたいと考えております。

産後ケアの現状はよく分かりました。
これから出てくる課題として、訪問型にニーズが過度に集中することで、現状の体制ではさばき切れなくなるリスクもあると考えられます。宿泊型、デイサービス型の利用実績が出てこない他の要因としては、例えば、宿泊型は自己負担額が1泊2日で1万8,000円と高額であること、デイサービス型は食事提供なしで4時間の利用となっていて使い勝手が悪いことなどが挙げられるでしょう。
こうした規定にも見直せる余地があると思いますので、要望として上げさせていただきます。

さて、次に、子育て支援センターについてです。本市における子育て支援センターは、保育園の庭や専用の部屋で親子でゆっくりくつろぎ、楽しく遊べるところです。
コロナ禍で予約制を継続していましたが、令和6年度に入り、コロナ禍前と同様に予約なしで利用できるようになっています。
同センターの利用状況について、利用者数の推移をお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

令和2年度から令和5年度までの、大人と子どもを合わせた利用人数についてお答えいたします。
令和2年度は2,988人、令和3年度は3,114人、令和4年度は4,114人、令和5年度は4,257人となっております。

利用者の延べ人数を指しているんだと思いますが、コロナ禍での制限があった年でも多くの利用があり、なおかつ増加傾向にあるようです。
このように、子どもと保護者が自由に利用できる屋内型の施設として、子育て支援センターの利用ニーズは非常に高いことが推察されます。
現在、本市の子育て支援センターについては、南下浦地区の1か所しか開設されていない状況です。
今後、三崎地区、初声地区での設置の可能性はあるのか伺います。

齊藤正史保健福祉部長

現在、両地区ともに子ども・子育て支援法に基づく子育て支援センターの機能を持つ施設はなく、新たな設置についても、現時点では具体的な検討を行っていない状況でございます。
今後も引き続き、子育て支援に資する全体の取組の中で、市民の意見を伺いながら、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

現状、新たな子育て支援センターの設置については検討していないということです。
屋内で親子が自由に遊べる場所のニーズが高いことは、過去の答弁から行政としても把握しているかと思います。
しつこいようですが、子ども・子育て支援法に基づく施設でなくとも、屋内の遊び場の設置に向けた検討を引き続きお願いします。
次に、一時預かり事業についてです。
共働きや独り親家庭が増加している現代社会において非常にニーズの高い事業だと思いますが、制度の概要をお伺いします。

齊藤正史保健福祉部長

認定こども園や保育所における一時預かり事業は、家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳幼児を一時的に預かる事業でございます。
幼稚園における一時預かり事業は、在園児を対象として、保育時間の前後に預かりを行うものとなっております。

 本市で一時保育を実施しているところは何か所あり、年間どのくらいの利用人数があるのかをお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

市内では2か所の保育園で一時預かり事業を実施しております。
利用人数は、令和5年度は延べ65人となっております。

理由を問わずに子どもを預けることができる公的サービスはニーズが高いと考えられますが、延べ人数で年間65人の利用というのは少ないなという印象を持ちます。
ニーズはあるが受入体制が十分でないという仮説も立ちますが、本事業を実施していく上で認識している課題があればお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

現在、市内で実施している2か所の事業所は、いずれも保育園でございます。
保育園に併設している場合は、保育園の保育士が一時預かり事業の保育士を兼務できることになっているため、保育士の数を十分に確保できない場合、一時預かり事業においても十分な受入れができない場合がございます。
一時預かり事業においても、保育士の確保については課題であると認識しております。

保留児童が出てしまう要因として、保育士確保の問題というのは以前から伺っていましたが、その影響がここにも及んでいるとのことです。
就労相談会などの取組は継続していただいた上で、保育園による運営だけでなく、独立した一時預かり施設の確保についても検討を要望させていただきます。

この項目の最後になりますが、病後児保育についてです。
令和5年度よりファミリー・サポート・センター事業の一環として、提供会員の研修などにより利用可能な体制を整えたと聞いています。
これまでにどのくらいの利用実績があったのかをお伺いします。

齊藤正史保健福祉部長

令和6年8月1日時点で利用者数はゼロ人となっております。

保護者が利用したいとなった場合、現時点ではどんな手続をどんなタイミングで行わなければならないのか、受入れまでのフローについてお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

まず、預かりの要件を確認し、事務局へ連絡した後に申請書類をメールやファクスなどで提出し、医療機関を受診していただきます。
医師の診察により保護者以外の見守りが可能と判断された場合に、事務局がマッチングした提供会員と預かり場所でお会いし、打合せをした後に預かりを開始いたします。
この際、医師がどのような診察をしたのか記録する診断結果報告書や、薬の服用がある場合には投薬依頼書を記載し、提供会員に渡していただく流れとなっております。

つまり、まず役所へ申請を行い、次に医療機関を受診して医師から許可をもらい、その後で提供会員とのマッチングを経て預かりが開始されるということです。いろいろな制約がある中で何とか対応を具現化した施策なのだと思います。
しかし、やはり今確認したとおり、手続が煩雑で預かりまでに多くの時間を要するというだけでなくて、仮に動き出しても確実に預かってもらえる保証がないという部分で、なかなかこの施策を使ってみようとはならないと考えられます。
そもそも、病児、病後児の預かり施設が市内にないことが課題なのだと思いますが、この部分について今後どのように取り組んでいくつもりなのか伺います。

齊藤正史保健福祉部長

ファミリー・サポート・センターによる預かりはボランティアによる活動であり、行政サービスとしての病児・病後児保育事業は実施しておらず、市の事業として実施に向けた検討を進めていく必要はあると考えております。
しかしながら、現時点では具体的な方針の策定には至っていない状況でございます。
引き続き、他市の状況や市民のニーズを把握した上で、事業の在り方について検討してまいりたいと考えております。

病児・病児病後児保育は、その性質から採算性が確保しにくいため、必要な社会インフラとして行政が積極的に関与していかなければならない政策領域だと思います。
しかし、一方で、行政が単独でサービス提供を行おうとすれば、莫大なコストを要する上に、直接的な費用対効果が見込みにくい事業でもあります。
施策の立案に際しては、保育士だけでなく、看護師の確保も重要になってくると思いますので、引き続き、広い視野での検討をお願いします。

石﨑遊太

次に、大きなテーマの2番、行政運営のガバナンスに移ります。

まず、(1)番、行政評価の実施状況についてです。
今までは一般的となった行政評価ですが、初めて導入されたのは地方自治体である三重県で、平成8年のことであったとされています。
その後、自治体間での水平展開が行われながら、平成13年に国による政策評価の法制化を受け、多くの自治体が採用するに至った経緯があります。
本市においても行政評価が行われていますが、制度の概要について伺います。

矢尾板昌克政策部長

三浦みらい創生プラン後期実施計画におきましては、基本計画に掲げる4つの基本目標と基本目標を支える基盤整備にひもづく16の重点施策にそれぞれ基本的方向、具体的な施策、事業を位置づけ、具体的な施策の進捗状況や成果を検証するための指標として、KPI(重要業績評価指標)という形で目標が定められております。
その目標の達成に資するための個別の事業が実施計画事業でありまして、具体的にはこの実施計画事業の取組状況等を評価するものでございます。
目標の実現のためにPDCAサイクルの確立が必要であり、本市における行政評価は、このサイクルにおけるC、チェックと位置づけているものでございます。
評価は、各重点施策におけるKPI達成状況と課題改善の取組状況を基準として、5段階評価を行うものとなっております。

評価の対象と基本的な考え方について理解をしました。
本市においては比較的早いタイミングで行政評価が導入されたと聞き及んでいますが、導入に至った時期や経緯をお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

本市における行政評価は平成18年度から実施されており、これを平成19年3月に「三浦市版行政評価(平成18年度施行)報告書」という形で公表したことが始まりであります。
また、平成19年度から行政評価の本格稼働が始まり、同年10月に、平成18年度の施策・事業に係る三浦市行政サービス品質説明書「三浦市版行政評価報告書」という形で公表しております。
平成18年度は第4次三浦市総合計画の前期基本計画における第2次実施計画の開始年度であり、この第2次実施計画の策定に当たり、財政推計との整合を行うとともに、進行管理体制の構築を視野に入れ、導入されたものでございます。

本市における行政評価が目指すものについて、あらためて伺います。

矢尾板昌克政策部長

先ほども答弁させていただきましたとおり、本市の行政評価は、目標実現のために確立すべきPDCAサイクルのうち、チェックと位置づけているものでございます。
行政評価の結果を踏まえ、PDCAサイクルのA、アクションであるその後の改善につなげ、P、プランの次年度予算あるいは総合計画等の策定へ活用することを目指しているところでございます。

どうしても評価制度というのはそれ自体が目的化しやすい傾向がありますが、今答弁にもあったとおり、それ以降のサイクルに活用されなければ意味がないと思います。
その上で、本市における行政評価がどのようなプロセスで実施されるのか、もう少し細かくお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

内部評価である一次評価として、事業実施の翌年5月に、事業を所管する部署により評価のために必要となる、KPI達成のために行った取組とKPI達成に向けての課題と、それに対する今後の改善策・手法を整理し、6月中旬から下旬頃に、この結果について副市長及び各部門長による評価会議を行っております。
次に、外部評価でございますが、二次評価として、7月中旬から8月中旬頃に、三浦市総合計画審議会の2つの分科会におきまして、内部評価の結果を基に意見を聴取し、評価を行い、その結果を公表しているところでございます。

内部評価だけでなく、外部評価による二次評価も取り入れているとのことです。
単年度ではなく、比較的長期な総合計画レベルでの評価基準設定を行っているということなので、事業の進捗によっては、評価の基準に合致しなくなることや評価指標の変更が必要になる場合もあり得るものだと考えられます。
そのような場合、計画期間中であっても、評価基準や評価指標を変更する余地は残されているんでしょうか。

矢尾板昌克政策部長

現在、評価基準や評価指標を変更することは考えておりませんが、計画を着実かつ柔軟に推進するために、現行制度や社会経済情勢の変化によりKPIの実態と目標との乖離が大きく生じるような場合には、必要に応じてKPIの目標数値の見直しを行うことも視野に入れたものとなっているところでございます。

ある程度の不確実性にも対応できる運用となっているということです。
今お聞きしていて、制度としてはある意味で確立された感がありますが、現行の評価制度に関して課題と感じているものがあればお聞かせください。

矢尾板昌克政策部長

現行評価制度に対し、現時点では大きな課題があるとは考えておりません。
他方、より適切なKPIやKPIの目標数値の設定など、精度の高い評価制度としていくための改善の余地はあるものと考えております。
次期総合計画の策定作業におきましては、このような課題を少しでも解消できるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。

行政としての認識はよく分かりました。答弁の中で次期総合計画の策定について触れられていましたので、その進捗状況について伺うつもりでしたが、先ほど9番議員のご質問により把握できましたので、私からは割愛させていただきます。
いずれにせよ、総合計画の策定においては、策定作業自体に大変な労力を要するだけでなく、前計画に対するフィードバックにかかる時間も膨大になるかと思います。
その意味で、これまで確認してきたルーティンとしての行政評価の質が新しい総合計画のレベルにも直結してくるはずです。引き続き、精度の高い評価制度の運用に努めてください。

石﨑遊太

さて、最後の項目に移ります。

(2)番、チェルSeaみうらの整備と今後についてです。
チェルSeaみうらについての個別具体の質問をする前に、本市の公民連携に対する姿勢について確認していきたいと思います。
本市では、PPP、いわゆる公民連携を積極的に推し進めてきています。公民連携の取組は多岐にわたり、一様に論ずるのが難しいところですが、例えばチェルSeaみうらの整備で採用したプライベート・ファイナンス・イニシアティブ、略称PFIは、公民連携の代表的な手法の一つです。
公民連携に積極的に取り組む背景には、本市のように財政力の弱い自治体にとって、その取組が有効であると考えているんだと思いますが、市として公民連携に取り組む事業についてどのように検討していったのかを伺います。

徳江卓市長室長

議員ご指摘のとおり、公民連携という手法は三浦市にとって有効な手法であると認識しております。
そして、公民連携の一手法でありますPFI事業の典型的な事例でありますチェルSeaみうらのように、一定の規模以上の事業については、公民連携の活用を検討する対象としてまいりました。
検討の結果、選択した最適な手法として、下水道のコンセッション導入、二町谷地区の海業プロジェクト、チェルSeaみうらなどの公民連携事業に取り組むこととしたものでございます。

一定の規模以上の事業については、基本的に公民連携の活用を視野に入れてきたということです。
こうした取組を進める上で重要視していることは何かお聞かせください。

徳江卓市長室長

公民連携による取組を進める上で重要視している点としましては、公民連携の有効性を認識しつつ、公民連携を含めた中から様々な手法を検討対象としまして、それら検討対象とした事業に対して最適な手法を選択することであるというふうに考えております。

冒頭でも述べたとおり、公民連携の手法は多岐にわたりますから、もちろん公民連携は採用しないという選択肢も含めて、事業ごとにベストな整備手法を模索していくということなんだと思います。

それでは、チェルSeaみうらの整備についての具体的な内容に入ります。整備計画が固まるまでに、庁内においても議会においてもさんざん議論が尽くされてきた部分かと思いますが、整備が完了したこのタイミングであらためて確認をさせてください。
まずお聞きしたいのが、公民連携の中でもなぜPFIを採用したのかということです。例えば、同じ公民連携としての一括発注であっても、PFIのように民間に資金拠出を委ねず、市が自ら資金調達を行うDBO方式も選択肢としてあったはずです。
DBO方式であれば、民間としては資金調達が不要となるため、参入の障壁が下がって、より活発なプロポーザルが行われるとも考えられます。
あえてPFIを採用した理由をお聞かせください。

大西太理事兼総務部長

最も大きな理由といたしましては、PFI方式による事業とした場合、社会資本整備総合交付金の申請におきまして重点配分対象事業として取り扱われることとなりました。
交付金の配分率が高くなる見込みであったということでございます。
結果、今年度の施設完成時に配当された交付金につきましては、上限でございます45%の配分率でございました。

内閣府のPPP/PFI推進アクションプランを見れば分かるとおり、国はPFIを強力に推進してきていますから、その流れに乗って、多くの交付金を獲得する意図があったということなのだと思います。
確かに交付金を45%の配分率で獲得できたことは大きな成果だったと感じます。

さて、公民連携においては、従来の方式で事業を実施する場合とPFI方式で事業を実施する場合のコスト比較として、バリュー・フォー・マネーの頭文字を取ったVFMという指標がよく使われます。
今回の事業選定時におけるVFMの検証結果は7.04%となっていましたが、これを分かりやすく金額に換算すると幾らになるのか伺います。

大西太理事兼総務部長

従来方式とPFI方式の事業費を比較いたしますと、おおむね整備費用で1億1,650万円の削減、維持管理運営費用で5,850万円の削減となります。

合計で1億7,500万円の削減効果があったということです。
 整備を行う民間の事業者が決まった後の話になりますが、市民に対して説明の場を設けるなど、反映を前提として市民の意見を集約するような機会が設けられていたのかを伺います。

大西太理事兼総務部長

事業者決定後の令和4年度でございますが、市民向けの説明会のほか、南下浦町区長会などの地元の団体に対しまして説明会を開催させていただいております。
市民等からは、和室への水回りの設置や展示用ピクチャーレールの設置等の要望がございまして、事業者と協議の上、設計に反映をさせていただきました。

意見集約の場が設けられただけではなく、実際にその意見が反映された箇所もあったということです。

次に、施設の大規模修繕についてです。本事業の運営期間は15年であり、一般的に大規模修繕を行う周期と合致します。
チェルSeaみうらにおける大規模修繕は市と事業者どちらの責任で行われるのか、日常の維持管理における責任の所在と併せて伺います。

大西太理事兼総務部長

大規模修繕につきましては、事業者側のリスク軽減の観点から、市の負担により事業期間終了後に行うこととしてございます。
本事業の期間は15年でございますが、期間終了時の引渡しの際には、整備時と同等の性能を発揮できる水準を確保することとしておりますので、その取決めに基づき、期間中の施設維持管理を事業者側が行うこととなります。
また、施設整備後30年間の長期修繕計画を市と事業者との間で定めております。
より具体的かつ実態に沿った施設維持管理を行っていく考えでございます。

民間は大規模修繕のような長期的なコスト試算については特に高く見積もる傾向がありますから、ここは市の負担とすることで応募のハードルを下げる意図があったのだと思います。
その一方で、引渡し時の水準確保とそれに伴う日常の維持管理の履行、長期修繕計画の定めという複数の縛りによって事業者にもリスクを分散している点が確認できて、少し安心をしました。

さて、先ほど市民への意見集約と反映が行われたことを確認しましたが、プロポーザルで決定した案に対して、市としても意向がリクエストできる余地が残されていたのか、また、実際に調整が行われたのかをお聞かせください。

大西太理事兼総務部長

プロポーザルにて決定をいたしました案をさらにブラッシュアップするため、市の意向を事業者側へリクエストする余地はあり、実際には特に機能面について協議を行ってまいりました。
審議会からも、選定案の改善について要望された事項がございました。本事業をさらに充実したものとするため、事業者側と協議の上、設計に反映させていただいております。
具体的な例といたしましては、エントランス広場からコミュニティ広場へ人の流れがスムーズに抜けられるよう、入居者用ごみ置場や附帯施設等の外構配置を見直したこと、また、2階の貸室におきまして、机、椅子等を収集する倉庫にアクセスしやすいよう、出入口の位置等の動線を見直したことなどでございます。

市からも審議会からも一方的な要望にとどまらない協議が行われていたということで理解をしました。
事業者選定におけるプロセスで気になった点として、プレゼンテーションの内容を非公開としたことが挙げられます。
この部分について理由の説明を求めたいと思います。

大西太理事兼総務部長

公募前に行いましたパブリックコメントにおきまして、プレゼンテーションを一般公開してほしいという意見がございました。
これは選定過程における透明性の確保という趣旨でございましたが、選定基準及び審査講評は公開することとなっておりまして、透明性や公平性は確保されていると認識をしております。
また、公開とした場合、事業ノウハウの流出が懸念され、応募者数に影響が生じる可能性があることなどから、デメリットとなる要素が多いと判断いたしまして、公開はしておりません。

公開という透明性の担保と事業ノウハウの流出防止という観点で、これを天秤にかけたときに後者を優先したということなのだと思います。その判断に一定の合理性があることは理解できるのですが、逆に透明性が不足しているから応募を断念したと、そんな事業者がいてもおかしくありません。
バランスが非常に難しいと思いますが、事業ノウハウの流出という非常に広範囲なリスクを盾にして、何でもかんでもブラックボックス化されてしまうことについては危惧を抱いています。
今後、同様のプロポーザルを行う場合には公開とすることのメリットも含めた上で再度運用を検討してほしいと思います。

さて、整備完了後の運営について話をしますが、まず、駐車料金についてです。実際に市民の方から駐車場の料金が高いというご意見を多数頂戴していますが、この料金が設定された経緯についてお聞かせください。

瀬戸山剛史市民部長

南下浦コミュニティセンターの駐車場利用料金は、条例に定める金額の範囲内において、市の承認を得て指定管理者が定めております。
従前の南下浦市民センター開設時にも駐車場不足問題は発生しておりました。
南下浦コミュニティセンター建設に当たり、センター利用者用の駐車台数が39台から31台に減少することを踏まえ、受益者負担の観点から、これまで無料としておりましたセンター利用者の駐車料金を有料といたしました。
センター利用者以外の駐車場料金設定につきましては、近隣駐車場の料金を比較して安く設定した場合、センター利用者が駐車できなくなる状況を懸念しまして、近隣駐車場料金より高めに設定いたしました。
センターが開設したから2か月が経過しますが、満車になることは少なく、出張所及びセンター利用者に不便をかけることなく駐車できる状況となっております。

確かにセンターの利用者が駐車できなくなるような事態は絶対に避けなければなりませんが、逆に、駐車料金の高さを懸念してコミュニティセンターの利用が控えられてしまうこともあってはならないと思います。
駐車場の料金は事業者の収入にもなるわけですから、駐車場の稼働率が過度に低過ぎれば運営にも支障が出てきます。
また、利用者用と入居者用の駐車場の配置についても、お互いにとって逆にしたほうがいいのではないかというようなご意見も聞かれます。
このあたりについては、実際の稼働状況や利用者、入居者の声をしっかりと分析して、行政としても助言する余地があるのではないでしょうか。
検討をお願いします。

さて、運営事業者に期待されるもう一つのポイントとして、コミュニティ形成支援業務があります。居住者間や居住者と近隣住民、市民センター利用者との良質なコミュニティ形成に向け、自治会行事等の運営代行にとどまることのない積極的なコミュニティデザインが求められています。
募集要項によれば、供用開始後3年間は事業者が主体となって実施することが求められていますが、現状の見通しについて、仮に4年目で事業者からの移行がうまくいかなかった場合の市の対応も含めて伺います。

大西太理事兼総務部長

本格的な運営段階に入っておりますが、今後のコミュニティ形成に向けた取組につきましては、本事業の中でも最も重要な業務でございます。
市といたしましても注力していきたいと考えております。
コミュニティの形成につきましては、3年目まで市と市指定業者が伴走支援をし、4年目以降は自立運営できるような仕組みをつくっていく考えでございます。
また、指定管理者に対しましては、このコミュニティの形成業務につきましてもモニタリングの対象事業としております。
4年目以降で自立運営が難しい状況であった場合は、モニタリングにより相応の評価を行うとともに、自立運営できるまで伴走支援の期間を延長することなども考えてまいります。

ここについては、市としても運営を後押ししていくことに加え、もしうまくいかない場合には相応の対応を取ることが確認できました。ただ、いまいちまだ中身が見えてこないので、なるべく早いタイミングで示されるよう、事業者との交渉をお願いします。
今モニタリングという言葉が出てきたので関連して伺いますが、指定管理における運営においては、事業者に対するモニタリングも当然実施されるはずです。このチェルSeaみうらの運営におけるモニタリング体制についてお聞かせください。

大西太理事兼総務部長

要求水準書に基づきまして、月1回のモニタリング会議を開催し、進捗を確認していく予定でございます。
モニタリングの結果、求める水準に達しておらず、減額の対象となる事象が生じた場合は、募集時に示しておりますモニタリング減額方法説明書に基づき対応してまいります。
また、このモニタリングの中で、市民によるサービス評価も併せて実施をする予定でございます。
実態を把握するためのアンケート調査も行う考えでございます。

細かくモニタリングが行われるとのことです。
市民サービスの向上という側面は、公民連携を行う上で重要なメリットの一つだと思いますので、期待をしています。

供用開始からまだ2か月ほどの期間しかたっていませんが、現状、市民から出ている要望やそれに対して実際に対応した事例などはあるのか伺います。

瀬戸山剛史市民部長

市民からのご要望は、南下浦コミュニティセンターの受付、南下浦出張所等で伺っており、その都度、市と指定管理者間で対応を協議しております。
開設後すぐに飲料の自動販売機設置のご要望があり、8月27日に南下浦コミュニティセンター内の1階及び2階に指定管理者により設置されました。
今後も、要望のあった貸室の椅子等の増設やキッズコーナーの充実を検討しております。

既に動けている部分もあるとのことです。
特にキッズコーナーの充実については、図書スペース内に設置されたキッズスペースはあまりにも小さ過ぎると感じていたので、検討しているというところでうれしく思います。

チェルSeaみうらの整備について確認をしてきましたが、最後に、整備を通じて見えてきた課題や今後に生かしていきたい点を伺います。

吉田英男市長

チェルSeaみうらの整備におきましては、民間ノウハウの活用によりまして、コストの縮減及び公共サービス水準の向上など、公民連携がもたらす効果を一定度得たものというふうに考えております。
本事業ではコンソーシアムの中に地元企業も参画しておりますが、民間ノウハウをより発揮していただくために、地元企業の参画については今回以上に取り組んでいきたいと考えています。
今後、事業化する案件が出た場合、公民連携の活用について庁内で検討するとともに、この地元企業の参画についても、事業の構想段階から、参画機会の創出に向けた行政による仕掛けづくりなどを積極的に行っていきたいと思います。
チェルSeaみうらも完成してちょっと日にちがたちますが、いろいろご意見も頂きます。
石﨑議員のおっしゃった駐車場の件ですとか様々ご意見も頂いていますが、なるべく改善できるように、これからも調整をしていきたいというふうに思います。

市長のこの事業に対する思い、公民連携に対する思いがよく分かりました。
特にPFIについて、一般的に人口10万人以上の自治体での実施が想定される中で、本市のような小規模な自治体で整備を完遂できたという背景には、市長や職員の皆さんの並々ならぬ覚悟と努力があったはずです。
公民連携を採用するメリットが多くあることも、今回の質問を通じてあらためて理解をしました。
しかし、既に数々の指摘をしたとおり、本市における公民連携の取組体制については、まだまだブラッシュアップできる余地が残っていると感じます。
まずは、整備が完了したチェルSeaみうらの検証と改善をしっかりと行い、今後の公民連携に生かしてほしいと思います。
当たり前のことですが、公民連携を通じて整備される施設は紛れもなく市民のためのものであります。
ですから、そこに一義的な責任を果たさなければいけない主体というのは、事業者ではなく行政であるはずです。
交付金が出るから、費用対効果が高いからというある意味で消極的な理由だけではなくて、市民にとって魅力的な施設が整備できるかといった積極的な理由で公民連携の採用が進むことを期待して、私の一般質問を終わらせていただきます。

石﨑遊太

ありがとうございました。

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