【令和6年第2回定例会】一般質問 全文書き起こし

令和6年第2回定例会のうち、6月12日に行われた一般質問について、私が書き起こした全文をアップします。

一般質問については、以前の投稿(初めての一般質問を終えて)で概要をご説明しておりますので、よろしければご覧ください。

※展開がわかりやすいように、吹き出し風に文章を適宜挿入します。

※行政からの答弁については、青い囲み文字で記します。

※議場での発言には議長の許可が必要なので、実際には議員、職員ともに発言ごとに挙手→議長からの許可の流れがありますが、ここでは便宜的に省略します。

「一般質問なんて聞いたことがない」

「聞いていてもつまらない」

そんな感想をお持ちの方も少なくないと思います。

私としてもそのお気持ちがよくわかるので、手元に資料がなくても話の流れがつかみやすいように、構成や原稿は頑張って工夫しているつもりです。

5回目の一般質問となりましたが、おそらくこれまでの中で最長のボリュームだったと思います。

一応、規則では質問と答弁を含めて2時間が上限となっています。

最近の新聞記事でも、官僚が国会答弁作成のために深夜まで残業を強いられているような報道がされていました。

私の質問量の多さに対して、「職員の負担を考えろ」と揶揄する声もありますが、私は市民の代表としての責任を背負っています。

職員に局所的な負担がかからないよう最大限の努力はしていると自負していますし、規則で上限が2時間と決められている以上、これを超えなければいいわけですから、今後もこのスタイルは崩すつもりはありません。

もちろん、決して長ければいいというものではありませんが、質問の一つひとつに意図と思いを込めています。

ご興味のあるカテゴリだけでも、拾い読みしてもらえたら幸いです。

※発言の内容は下記の通告書通りになります。

【石﨑】一般質問 発言通告書

1.こどもの食にまつわる施策
(1)みうら食育推進計画
(2)学校給食の現状と今後


2.こどもの安全・安心のための環境整備
(1)通学路の安全確保
(2)市内小中学校の修繕体制
(3)いじめの現状と対策

※クリックすると該当部分にジャンプします(画面右下の矢印ボタンで最上部に戻れます)

!!注意!!

下記の文章はあくまで私がYoutubeでのアーカイブ配信を個人的に書き起こしたものであり、正式な議事録ではありませんのでご了承ください。

議事録がアップされましたらこちらにそのリンクを追記する予定です。

↓↓↓↓↓↓↓↓

【追記】議事録が公開されたため、下記にリンクを記載します。

三浦市議会/会議録検索システム<令和 6年第2回定例会(第1号6月12日)>

※『全文表示』ボタンをクリックすると全体像が見やすくなります。

以下発言

石﨑遊太

無所属の石﨑です。

ただいま議長から発言の許可を頂きましたので、一問一答方式で質問を行わせていただきます。

項目について、大きなテーマとしてはこどもの食にまつわる施策、こどもの安全・安心のための環境整備の2点となっております。

よろしくお願いします。

目次(クリックで飛べます)

こどもの食にまつわる施策について

石﨑遊太

まず初めに、こどもの食にまつわる施策として(1)番、みうら食育推進計画についてです。

令和6年3月、本計画が第3次計画として改定されました。
まずは計画の理念や考え方といった全体的なことを伺いたいと思います。
なお、この計画においてもそうですが、食育という概念はこどもたちだけのものではないということは重々承知しつつ、今回はテーマとしてピントを明確化するためにこどもたちにとっての食育という観点で質問をさせていただきます。
あらためて、第3次みうら食育推進計画について、第2次計画からの主な変更点をお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

主な変更点といたしましては、基本理念と食育の推進体制で目指すものについてでございます。
基本理念につきましては、楽しく食べるということを幸福感や心身の健康につながるということを念頭に置き、食や健康に対して自らが興味を持ち、知識を得るとともに、実践につなげることを目指すことといたしました。
また、食育の推進体制で目指すものにつきましては、これまで庁内の各部門と関係者が情報共有を主としてまいりましたが、食に関わる関係者の相互の協働をさらに深めるため、事業の取組、連携、発展を加えることといたしました。

食育に対してより踏み込んだ、積極的な姿勢で臨むということなんだと思います。今回のタイミングで計画が行われた理由、そして、背景についてお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

第2次食育推進計画は、令和4年度をもって終了することといたしましたが、上位計画である国の健康日本21が新型コロナウイルス感染症蔓延の影響により1年延長したことに会わせて、本計画も1年延長し、今回の改定となっております。

計画の冒頭にも記載がありますけれども、新型コロナウイルス感染症が与えた影響というのは、食の領域に対しても大きかったはずです。そうした変化への対応も含めて今回の計画が更新されたのだと思います。

さて、第3次計画については計画期間が10年となっており、前計画で5年であったものが大幅に延びています。この部分の意図についてお聞きします。

齊藤正史保健福祉部長

第2次食育推進計画と同様に、今回の改定においても政策分野ごとの大きな食育の目標や方向性は変わらずに取り組むことを掲げており、基本的な考え方は一定程度長期にわたって不変であると捉えており、より長い期間に係る計画になじむものとの観点から、計画期間を10年と設定しております。
なお、10年の長期間の対応といたしまして、5年を目途に中間評価等も行ってまいりたいと考えております。

目標や方向性について、土台となる部分が不変であると確認ができた上での計画期間の10年という設定だと理解をしました。
計画の更新に当たっては、大きな時間と労力が必要となりますから、計画期間を長くすること自体は一定の合理性があるかと思います。
しかし、その分、計画の修正や管理がおろそかになるリスクも当然生まれてきます。
この部分も踏まえた上で、進捗管理はどのように行っていくのかも伺います。

齊藤正史保健福祉部長

食育に関する施策の総合的な推進に関し、関係者での連絡調整及び意見交換を行う三浦市食育推進連連絡会を設置し、推進を管理してまいりたいと考えております。
また、こどもの食育については、みうらっ子食育ネットワークを部会として位置づけ、内容を検討することとしております。

どの行政計画にも言えることですが、計画が形骸化しないようにしっかりと進捗管理を行っていただきたいと思います。
今答弁に出てきました三浦市食育推進連絡会についてですが、構成メンバーや連絡会の開催頻度を含め、概要を伺います。

齊藤正史保健福祉部長

三浦市食育推進連絡会は、学校栄養教諭、市職員のうち、食育に関連する課の担当者、神奈川県鎌倉保健福祉事務所三崎センターの職員、及びその他必要と認める者により構成されております。
会議の開催は、年に1回から2回を予定しており、食育推進に関する情報収集、意見交換を行います。

三浦市食育推進連絡会の概要について、理解をしました。
この連絡会のこれまでの取組について伺います。

齊藤正史保健福祉部長

計画の進捗管理として、毎年、関係機関との調整、情報集約、評価を行い、令和5年度はみうら食育推進計画の改定作業を行いました。
また、第3次食育推進計画を策定するに当たっては、食育推進連絡会に神奈川県立保健福祉大学栄養学科の管理栄養士に講演いただくとともに、評価の分析のアドバイスを頂き、市担当者及び関係機関の食育推進の意識向上を図りました。

今答弁いただいた三浦市食育推進連絡会の部会として、みうらっ子食育ネットワークが設置されていますが、こちらの概要についてもお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

計画の推進体制の一つとして、こどもの食に関わる保育園、幼稚園、小中学校、在宅栄養士会頭の代表を構成員として情報交換や取組を平成27年度から行っております。

10年近く前からこどもの食に関わる領域についてのチームをつくり、動いてきたということはすばらしいことだと思います。同ネットワークのこれまでの取組についても伺いたいと思います。

齊藤正史保健福祉部長

定期的な情報交換のほか、令和5年度にはオブザーバーとして神奈川県立保健福祉大学栄養学科から食教育・食育が専門の講師をお招きして、地域での食育の取組について、講義や助言を頂きました。
また、食育に関する関心を高めるよう、みうらっ子食育ネットワークメンバーが選ぶ年代別みうらっ子が好きなメニューや、そのレシピを本市ホームページ上に掲載しております。

県立保健福祉大学からご協力を頂いていること、大変意義深いと思います。
これは食育の領域のみならず、市民協働や観光の部分でもお力を頂いていると伺っています。
今後も関係強化に努めてください。
また、みうらっ子が好きなメニューのレシピ、実際にいくつか作ってみましたが懐かしいメニューもあり、大変おいしかったです。
地域のスーパー等の販促物としても活用できると思いますし、今後もレシピの充実や活用方法の拡充に期待をしています。

さて、計画の総論の部分に話を戻しますが、効果検証のために客観的に評価を行うためには数値での評価が基本になると思います。
しかし、一方で数字では見えてこない取組の継続性が必要な指標も必要になってきます。
この部分のバランスを整えることがなかなか悩ましいと思いますが、本計画における評価についてのお考えを伺います。

齊藤正史保健福祉部長

毎年、計画の評価を食育推進連絡会で検討しております。数字だけの評価では各機関・団体が取り組んでいても未達成ばかりの評価となるため、モチベーションが上がらない状況が懸念されました。
さらには、第2次食育推進計画作成時には想像していなかった新型コロナ感染症の流行で事業やイベントの中止が相次いだため、指標としていた事業が全くできない状況となりました。
これらのことを踏まえ、各指標の内容によって基準を設定し、達成には丸、取組中には三角、未達成にはバツ、評価できない場合はハイフンとし、取組を継続していくことの重要性を示すことといたしました。

今ご説明いただいた部分だけでも前回の計画をよりよいものにしようといろいろ考えられた痕跡がよく分かります。
引き続き、より効果的なPDCAサイクルの仕組みづくりを検討していってほしいと思います。

さて、総論の部分はこれぐらいにして各論に移りたいと思います。栄養教諭を活用した児童・生徒への指導について、直近の実施状況を確認すると、同計画の中では令和4年度が11校中7校の実施となっています。
全校実施ができなかった理由を、計画には載っていない令和5年度の実績を含め、お聞きします。

鈴木基史教育部長

令和4年度に全校実施できなかった理由としては、新型コロナ感染症の流行がまだ最中であったということがあります。
令和5年度につきましても、11校中7校実施いたしました。
ここも全校実施できませんでしたが、コロナによって一度途絶えた指導を学校側も栄養士側もどのように行えばよいのか、つかみ切れない年度となってしまったということが要因と考えられます。

コロナの負の影響がこういったところにも出ているということです。
この後の学校給食の項目でも出てきますが、栄養教諭の効果的な活用については、文部科学省や県も後押ししているところです。この施策自体が最適か否かも含め、関係部署で議論していってほしいと思います。

さて、個人的にずっと注目している部分でもあるんですが、こどもの朝食の欠食についてです。
すなわち、朝ご飯を食べないこどもの割合になりますが、計画の24ページには令和4年度の実績として、小学校5年生で4.4%、中学校2年生で2.6%となっています。
令和5年度はどうだったか、直近の実績をお聞かせください。

鈴木基史教育部長

令和5年度の実績をお答えいたします。小学校5年生では1.5%、中学校2年生では3.5%ということでした。

朝ご飯を食べないこどもについて、どのような要因があると考えているのか、お尋ねします。

鈴木基史教育部長

さまざまな要因が考えられますが、その1つに家庭の問題があろうかと思います。
何らかの理由で保護者が朝ご飯を用意することができないために、朝ご飯を食べることを習慣化できないこどもが一定数いるものと考えられます。

家庭の経済的状況や保護者の意識など、ここはなかなかこどもたちへの啓発活動だけでどうにかなる部分ではないのかなと思います。ちなみに、この欠食率についてですが、県平均と比較するとどのような状況だと分析しているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

令和5年度の県調査の結果は未公表であるため、令和4年度との比較になりますが、令和4年度の神奈川県教育委員会食生活に関する調査によりますと、朝食を欠食する県民の割合は、小学校5年生で3.3%、中学校2年生で7.7%でございます。
三浦市のアンケート結果と比較しますと、小学校5年生では県より高く、中学校2年生では低いという結果でございました。
令和4年度以前も比較いたしましたが、何らかの傾向を読み取ることはできませんでした。
教育委員会といたしましては、計画時から取り組んでいる生活リズムを整えるため、毎日しっかり朝食を摂取することの大切さの普及啓発に引き続き取り組んでまいります。

年度によるばらつきもあるとのことで、単純に比較して優劣を決められる指標ではありませんが、仮説を立てる上での要素の一つとして、今後も他の自治体の状況も含めて追っていってほしいと思います。
なお、第3次みうら食育推進計画の19ページには、幼児期の食に関するアンケートの結果が掲載されています。
この内容は、第2次計画には載っていなかったものと記憶をしていますが、第3次計画においてどのような意図でこの部分をピックアップし、どんなことに主眼を置いて取り組んでいくのかを伺います。

齊藤正史保健福祉部長

第3次食育推進計画の幼児期の食に関するアンケート結果についてですが、市としては、どのような機会に食に関する普及啓発を行い、どのように実態を把握しているのか、記載したものでございます。
本市といたしましては、幼児期はこどもの健康を維持し、成長や発達を促す重要な時期であり、こどもの頃から食の大切さを意識することは生涯にわたって健康で楽しい食生活を送ることの基礎となるものであると考えております。
そのため、本計画では、この時期の食事は栄養の摂取だけでなく、生活リズムの形成、親子の関係づくり、食べる楽しさの体験に重点を置いており、今後も健診や教室を通してこどもや保護者に周知してまいりたいと考えております。

小中学生だけではなくて、未就学児に対しての食のアプローチを強化している部分を評価したいと思います。
私も1歳になったこどもを育てる父として、もぐもぐごっくん、ぱくぱく・しゃかしゃかといった各教室に参加させていただきましたが、すばらしい内容でした。
こどもにとって食育の入口になるこの時期の支援は、特に重要になってくると思うので、引き続き充実させていってほしいと思います。

さて、本市における食育の強みとなる部分として豊かな土壌であることや、多くの農家さんがいらっしゃることが挙げられます。
この部分に関連して、学校における野菜の栽培活動や、地元の農業等と絡めた食育実践について、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

小学校の生活科や総合的な学習の時間、それから、中学校の技術科等で栽培活動の実践がございます。
また、小学校の社会科等で地元の農業についてインタビューを行うなどの実践もございます。

学校における農業領域での食育について理解をいたしました。
もう一つの基幹産業である漁業領域における食育への取組についても拡充させていってほしいと思います。

さて、もてなし政策分野、すなわち経済部が管轄する食育についてですけれども、令和5年度の実施状況と令和6年度の実施予定について伺います。

石川博英経済部長

令和5年度については、もてなし政策分野で設定した三浦市の農業、漁業に関わるアンケート調査は、コロナの影響などにより実施しておりません。
令和6年度については、今回の食育計画の改定に伴い、地元の農水産物の存在を認識していただき、そのよさを知っていただく施策を展開し、消費拡大につなげていくため取組内容を地産地消の推進へと変更いたしました。
農業の分野では、肥料、農薬を減らし、安全・安心な農産物を作ることを目指す農家を支援する環境保全型農業支援事業の実施と、三浦野菜の品質改良等支援事業として、三浦野菜の品質などの向上のため、改良や開発に取り組む三浦市農業協同組合を支援します。
水産業の分野では、地場水産物に親しんでもらうとともに、漁業や魚市場の役割の理解を深めていただき、地場産水産物の消費拡大を図るため、引き続き三崎水産物地方卸売市場の施設見学通路を開放いたします。
また、地域の食を楽しむ機会として、みうら夜市をはじめ、食のコンテンツを提供するイベントの開催を支援してまいります。

地産地消を推進していくとのことです。
ここは国としても食育推進基本計画などで重点を置いていますし、その方向性については賛同するところです。
しかし、意外と実践が難しい施策であることも事実だと思います。
ここは農業や漁業といった1次産業の頑張りだけではなくて、加工販売を含めた6次産業化のスキームが重要になってきます。
場当たり的な地産地消ではなくて、生産者、消費者の両者にとって価値のある持続可能性のある地産地消の形を体現していってほしいと思います。

さて、食育は、作って食べるだけでは終わりません。
調理上出てしまう不可食部や食べ残し、賞味期限切れの食品ロスなど、さまざまな過程で発生する食品廃棄物に関しても意識を持つことが重要になってきます。
計画の31ページには、食品廃棄物の学習プログラムについての記載があります。
具体的にどのような取組を行っているのか、お聞きします。

堀越修一都市環境部長

小学校4年生の社会科で、ごみの行方を学習する単元がありまして、その際に廃棄物対策課と清掃事業所の職員が小学校に出向き、本市におけるごみ処理の概要についての説明に加えまして、食品廃棄物の中でも特に食品ロスの問題を取り上げて説明をさせていただいております。
食品ロスとは、食べることができるのに廃棄されてしまう食品のことを指しますが、これに関する具体的な学習プログラムでは、SDGsと食品ロスとの関係性や、食品ロスが発生する仕組みを説明するだけではなく、市が取り組んでいるフードドライブを紹介するなど、どうすれば食品ロスを減らすことができるのかを児童の皆さんにも一緒に考えてもらう内容となっております。

まさに作ること、食べること以上に意識づけといいますか、体験や学習によって得られるモチベーションというのが重要になる領域かと思います。
より優れたプログラムにブラッシュアップしていくことを求めます。

さて、計画についての質問はこれぐらいにして、この小テーマの最後に、それ以外の食育に関する状況をいくつか確認させてください。
まず初めに、こどもの孤食についてです。
いわゆる1人で食事を取ること、孤独な食事を意味する孤食ですが、こどもに限らず、孤食の傾向は日本全国で高まっているという統計データもあります。
本市におけるこどもの孤食について、集計を含め実態が把握できているのかを伺います。

齊藤正史保健福祉部長

子ども課が実施しております乳幼児健診時に、ほとんどのこどもが保護者等と一緒に食事を取っていることを把握しておりますが、就学後の状況につきましては把握してございません。

就学後の孤食、逆の捉え方をすれば、共食の状況把握については行っていないということです。
確かにこの部分については非常にプライベートな領域とも言えますから、把握をしたところで政策的なアプローチは難しい側面もあるかと思います。
特に就学後の状況については、教育部門と福祉部門の縦割りの弊害が出やすい部分であるとも言えるかもしれません。
しかし、こどもたちや子育て家庭の実情に向き合う意味では重要な指標になると思いますので、各種アンケートの項目に加えてみる価値はあるのではないでしょうか。
検討をお願いします。

さて、このこどもたちの孤食の増加を背景として、いわゆるこども食堂と呼ばれるこどもが1人でも行ける無料または低額の食堂が全国で急増しています。
認定NPO法人全国こども食育支援センターむすびえの調査によれば、令和5年度における日本全国のこども食堂の数は9,131にものぼり、これは全国の公立中学校と義務教育学校を合わせた数とほとんど変わらないそうです。
調査を開始した平成28年度時点では、その数は316であったということで、たった7年足らずで30倍近くに急増していることから、そのニーズの高さが伺えます。
当然、本市においてもこども食堂の動きがあるわけですけれども、その実態について把握ができているのかをお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

現時点におきまして、直接的な関わりがないため、正確な情報の把握はできておりませんが、いくつかの団体や事業者が実施していることは把握しております。

詳細な情報把握はできていないということです。
これまでに行政としてこども食堂を支援したり、こども食堂と連携を行ったことがあるのかをお聞きします。

齊藤正史保健福祉部長

過去には、こども食堂の趣旨に賛同し、後援名義使用の承認の依頼を受けて後援を行ったことがございます。
また、把握できている団体等につきましては、他機関が実施するこども食堂への補助金に関することなど、市から情報提供を行っております。
さらに、現在、市が実施している子育て応援・こども応援ネットワーク事業への参加登録の呼びかけを行っており、今後、参加登録を頂ける段階がある場合には、市のSNS等を通じて団体の活動を周知するなど、市と連携した取組を効率的に行うことができるものと考えております。

状況について理解をしました。
こども食堂という言葉を耳にすると、貧困対策としての側面をイメージしてしまう方も多いかと思いますが、こども食堂の意義はその部分にとどまりません。
これまで論じてきたこどもたちの孤食対策や食育の推進としての機能も重要なものであります。
行政だけでは解決できないこの分野に携わっている方が市内にもいるわけですから、まずは実態把握を進めながら、こども施策としての有機的な連携を模索していってほしいと思います。
この6月は、実は食育月間でもあります。これまで確認してきた本市の食育への取組がさらに充実することを切に願っております。

石﨑遊太

さて、(2)番の学校給食にテーマを移します。

本市の学校給食については、私自身も義務教育の9年間で大変お世話になりました。
味もボリュームも非常に満足感が高く、教育施策として誇れるものであると認識しています。
まさにこどもの食に関わる重要な政策領域でもありますが、あらためて本市の学校給食について、業務に取り組む姿勢や、強みについてどのように考えているかをお聞きします。

鈴木基史教育部長

漁業を中心とした水産業のまち、首都圏への生鮮野菜の供給地としての農業のまちとしての強みがある本市において、新鮮で安価な地元食材を学校給食に数多く使用できる点が強みでございます。
そういった食の豊かさを給食を通じていかに児童・生徒に伝えるかを念頭に業務に取り組んでおります。

まさに食材の宝庫であるという部分は他の自治体には負けない強みなのかなと思います。
新鮮な地元の食材はどれぐらいの頻度で給食に取り入れられているのか、お伺いします。

鈴木基史教育部長

昨年度は年間183回給食を実施しております。そのうち68回の給食には1品目以上の地元食材を使用してございます。

こどもたちの満足感を高めるためには、いい食材を使うことだけではなく、メニューや献立も重要になってくると思います。
給食においても毎年度新たなメニューを考案していると聞きますが、どの程度の品目が、どのような流れで考案されているのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

従前、毎年度1品目から2品目の新献立を考案し、提供してまいりましたが、令和5年度は感染症対策として行ってまいりました黙食も終了いたしました。
以前のようにみんなで学校給食を楽しく食することの一助とするため、新献立の開発に注力いたしました。
結果、7つの新献立を提供することができました。また、令和6年度に向けた新献立にも取り組み、新たな取組として実施いたしました学校栄養職員、学校給食担当教員、調理委託事業者、教育委員会による新献立試食会において6つの新献立について改良等を話し合いました。
試食いたしました献立のうち2品目は今年度既に児童・生徒に提供されておりまして、残りの献立も改良した後に提供することを検討しております。

新メニュー考案について、こどもたちに学校給食をより楽しんでもらえるよう、新しい取組も行われているということです。今お聞きした新メニューの開発や毎日の献立作成の中心となるのは、栄養士資格を持つ学校栄養職員になるかと思います。
本市における学校栄養職員の雇用や配置はどのようになっているのか、お尋ねします。

鈴木基史教育部長

学校栄養職員は教職員と同じく神奈川県が採用し、三浦市に配置されている県費負担職員でございます。
三浦市には2つの給食調理場がございますが、各調理場に1名ずつ計2名の学校栄養職員が配置されております。

平成17年ですかね、栄養教諭免許が制度化されまして、学校における食育推進の中心的役割を担う人材として栄養教諭への期待が高まっています。
神奈川県の第4次食育推進計画の中でも取組の一つとして公立学校における栄養教諭の配置拡充が記載されています。県としては、令和8年度以降は学校栄養職員の採用を栄養教諭の採用に切り替え、将来的には国の配置基準に基づく栄養関係職員は全て栄養教諭とすることを目指して、その配置拡充にしっかりと取り組んでいくとされています。
本市における学校栄養職員は、栄養教諭であるのか、伺います。

鈴木基史教育部長

現在配置されてございます2名のうち、1名は栄養教諭でございます。
残り1名は栄養教諭に任命できる要件でございます実務経験3年を経過した時点で栄養教諭となる見込みとなっております。

既に栄養教諭への切替えについて見通しが立っているということです。

さて、給食の残食についてです。過去の答弁の中でも何度か取り上げられていましたが、直近の残食率について、削減目標と合わせて実績を伺います。

鈴木基史教育部長

残食に関してどのぐらいまで削減するといった目標の設定はしてございません。
令和5年度の残食率は、小学校で8%、中学校で9%でございました。
毎年度、同程度の数値で推移しております。

残食率については、当然0%が望ましいわけですから、あえて目標設定を行っていないということなんだと思います。
より魅力的なメニュー開発といった提供者側のアプローチに加えて、さきのテーマでも確認した食品廃棄物に対する児童・生徒側の意識醸成も含めて引き続き取組をお願いします。

次に、アレルギー対応についてです。
現状、食物アレルギーをお持ちの児童・生徒に対して、どのような対応を行っているのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

食物アレルギーがある場合には、保護者から申請を頂きまして、各学校の検討委員会での意見を頂いた後、対応を決定し、保護者に通知しております。
ほとんどの場合は各々のアレルギー食材を除去した除去食や代替食を提供することとなります。
除去食や代替食の提供が難しい献立の場合にのみ、自己で用意した昼食を喫食していただいております。

今の質問に関連して、食物アレルギーに関しては原材料として該当品目を使用していなくても製造工程などでアレルゲン物質が意図せず混入してしまうコンタミネーションという問題があります。
このコンタミネーションに対して対応は行われているのかを伺います。

鈴木基史教育部長

現在の除去食や代替食の調理は別室での調理工程で行われているわけではございません。
これは調理場の構造から来るものであり、コンタミネーションによる食物アレルギーを起こさないために細心の注意を払いながら調理しているのが現状でございます。
具体的には、食材ごとに揚げ油を交換しながら再利用はしないですとか、除去食を作成するスタッフを限定するといった対応を行っております。

食物アレルギー対応については、設備上の制約もある中でできる限りの取組を行っているということが理解できました。

さて、コロナ禍で2度行われた特別給食である食よし三浦学校給食は大変好評であったと耳にしています。
アフターコロナとなった今年度において3回目の実施についてはどうお考えか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

これまでに2回行いました通常の学校給食には価格の面から使用できない地元食材を使用した特別給食、食よし三浦学校給食は、国の交付金を有効活用し、コロナ禍や物価上昇で疲弊する地元業者支援と食育を兼ねた取組でございました。
現在のところ、財源としていた国の交付金に類するものは確認できていないため、3回目の実施は予定できてございません。
児童・生徒には非常に好評であり、食育の観点からも有意義な取組であったと考えておりまして、今後、機会があれば検討してまいりたいと思います。

地元の食材のおいしさにあらためて気付けるいい取組だと思いますので、高価な食材が使えなかったとしても、創意工夫で特別感のある給食の日を模索していってほしいと思います。

次に、給食展についてです。
コロナ禍で長く実施ができなかった三浦市学校給食展ですが、令和5年度は4年ぶりに実施がかないました。
当日の様子について、参加人数や参加者からの感想も含めて伺います。

鈴木基史教育部長

令和5年度の三浦市学校給食展は、令和6年2月3日に初声市民センターにおいて開催いたしました。
141人にご参加を頂きました。
そのうち129人が学校給食の試食を行っております。
当日のアンケートのほとんどは、試食に関するものでございまして、とてもおいしかった、懐かしく思ったといった声を数多く頂いております。

私も当日足を運びましたが、開場時間前から長蛇の列ができていて、盛況ぶりがよく分かりました。
予想以上に早く試食の整理券が売り切れとなってしまい、残念がっている市民の方や、自由に持ち帰れた実際の給食のレシピカードについても、そんなものがあるなら行けばよかったという声も聞かれました。
このように、三浦の学校給食は想像以上の魅力を持っていると思います。
もっとアピールできる余地があると思いますが、今年度の学校給食展への考えも含めて、市としてどのように捉えているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

三浦市の学校給食はおいしいとの感想は、他自治体の給食も食している教員からも好評を得ております。
議員の方々からも効果的なPRをすべきとのご指摘も頂いておりまして、ありがたいご意見だと受け止めております。
給食展の結果から見ても、最大のPRは実際においしい給食を食べていただくことであると思っております。
調理委託先との契約などにより、どのように実現できるかを考える必要がございますが、教育委員会としても試食会の実施など、検討したい事項でございます。
令和6年度の学校給食展の内容は、今後検討いたしますが、頂いたご意見を基に充実した内容で実施したいと考えております。

委託業者との契約内容や、調理食数のキャパシティなどの制約がありますから、内容の拡充についてはすぐに実現できるものではないのかなという風に思います。
中長期的な視点を持って給食のPRに取り組んでいただくことを要望いたします。

さて、少し話を時事的な部分に移します。
本年2月、福岡県で小学1年生の児童が、給食で出されたウズラの卵が原因で窒息死してしまうという、大変痛ましい事故が起きました。
この事故を受けて本市の学校給食においてどのような対応があったのか、お伺いします。

鈴木基史教育部長

事故後に、ウズラの卵の給食での使用は当面控えることといたしました。
学校給食には安全で栄養価の高い、バランスのよい食事を供給する使命がございます。
食材もそういった観点で選択しているため、そしゃくすることが必要な食材も採用しており、喫食の際には栄養吸収の面からもよくかむことが大切であるということを指導しているところでございます。
同様の事故が起こってしまった場合にどう対処すべきかの認識を徹底することが必要であると思っております。

ウズラの卵に限った話ではありませんが、食材の提供停止については議論の余地が残されていると思います。
当然死亡リスクを可能な限りゼロにするという前提での話ですが、答弁にもあったとおり、事故が起こったときの対処法を最適化するということが重要であり、現実的なアプローチなのかなと思います。
そこで、教職員に対して、例えば救急救命講習の受講などの機会が設けられているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

学校給食関連の事故に限定しているものではございませんが、横須賀市消防局の協力を頂きまして、教員には救命救急講習を受講していただいております。

引き続き徹底をお願いしたいと思います。

さて、学校給食事業の運営に話を移します。
本市の学校給食は事業委託で実施されていると思いますが、まず、給食業務における委託の範囲を伺います。

鈴木基史教育部長

委託の範囲は、調理業務と運搬業務でございます。

調理と配送、業務を2つに分けて委託しているということです。
委託業者の選定についてはどのようなプロセスで実施されているのか、お尋ねします。

鈴木基史教育部長

委託事業者は、競争入札により選定されます。

続きまして、令和6年度予算における学校給食費の内訳についてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

令和6年度の主な予算の内容をお答えいたします。
学校給食課の職員人件費が約1000万円、施設の光熱水費を含む維持管理や業務執行に係る経費である需用費・役務費が約2900万円、調理・搬送などの委託料が約1億3900万円でございます。

事業に係る委託費用や、その他の必要経費は全て公費で賄うということなのかと思います。
その上で、保護者が負担する学校給食費は全て食材費に充てられているという認識ですが、この公費の部分と保護者負担の部分について、内訳をあらためて確認させてください。

鈴木基史教育部長

学校給食法並びに同法施行令において、学校給食の施設及び設備並びに学校給食の運営に関する経費のうち、設備整備費、人件費、修繕費は設置者、すなわち市の負担となっております。
その他の経費は保護者の負担とされているところでございます。
三浦市の場合には、その他の経費のうち光熱水費についても設置者である市が負担しております。
議員お見込みのとおり、学校給食の提供に要する費用の経費のうち、食材費以外は全て市が負担しております。

理解をいたしました。

次に、食材の調達についてです。
過去の答弁で生鮮野菜はできる限り地元生産者から、その他の食品も市内事業者を中心に仕入先を選定している旨の説明がありましたが、事業者選定の考え方やスキームについて、もう少し詳しくお聞かせください。

鈴木基史教育部長

三浦市学校給食会におきまして、毎年度、仕入先を選定しております。
仕入先の条件としては、信頼のおける品質の食材を納入できること、安定した取引ができ、食材の確保ができることとしております。
この条件を基に、市内事業者を中心に、原則的には1つの食品項目において複数の業者を選定し、仕入れを行っております。
品目により、主食は神奈川県学校給食会から、生鮮野菜のうち、地元で栽培され仕入れができるものにつきましては生産者団体からというように、価格や品質に鑑みて妥当性がある場合には仕入先を限定しているものもございます。

食材や加工食品の品目によって仕入れの最適化を図っているということです。

話を調理場施設のハード面に移します。
現在、本市はセンター方式を採用し、学校給食の協働調理場が2か所ありますが、両場ともに一部の建物が耐用年数が過ぎています。
老朽化の現状と今後の設備更新の考え方についてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

建物本体の耐用年数にはまだ余裕がございますが、コンクリートブロック造りの一部の建物につきましては耐用年数を過ぎてございます。
危険な状態ではございませんが、本体も含めた建物全体の老朽化は進んでおりまして、計画的な更新検討を進めたいと考えております。

これから具体的に動いていかなければならない課題なのだと思います。
なお、老朽化の問題とも関連するのかもしれませんが、調理室にはエアコンがなく空調が悪い状態であるという声も聞きます。委託業者から改善の要望は上がっていないのでしょうか。伺います。

鈴木基史教育部長

委託事業者は、調理場施設の現状を承知した上で応札しております。委託期間において、修繕以外に新たな設備投資に関する要望は受けておりません。しかしながら、調理場全体の改善が必要な状況であることは教育委員会としても認識しております。

調理を行うスタッフの方にはできるだけ快適な状態で作業に当たっていただきたいですし、何より空調を整えることは衛生管理上も重要になってきますから、繰り返しになりますが、喫緊の課題として取り組んでいただきたくお願いします。

衛生の問題ということで言うと、改正食品衛生法の公布によりまして、全ての食品事業者を対象にHACCPの考え方に沿った衛生管理が義務化されることとなりました。
当然ながら学校給食共同調理場も義務化の対象となります。
大量調理施設衛生管理マニュアルの存在も含めて、こういった流れに対応した衛生管理が行われているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

HACCPの概念を基に平成9年に厚生労働省から大量調理施設衛生管理マニュアルが、それから、平成21年に文部科学省から学校給食衛生管理基準が示されております。
同基準によって努力義務とされているドライシステム、それから真空冷却器などの設備、設置につきましては未対応でございますが、同基準に基づいた運用を行うことにより対応しております。

老朽化もある施設の中で現場の努力と工夫で衛生管理が行われているんだと思います。食中毒が起こるようなことは絶対に防がねばなりませんから、衛生管理方法の随時見直しも含めて、引き続き徹底していただくようお願いします。

さて、令和3年に出された三浦市公共施設個別施設計画において、三崎学校給食調理場の増改築、もしくは更新により市内全体の学校給食を賄う方向性が示されています。
これまで確認した部分も含めて、施設更新についてどう考えているのか、あらためてお尋ねします。

及川圭介教育長

学校教育において大切な要素であり、児童・生徒の健全育成という面からも大切な学校給食を、現在、多くの方々から好評いただいているおいしい三浦の学校給食として今後も継続して提供し続けていくためにも、調理場の更新を図る必要性を強く認識しております。
その際には、今後も続くであろう児童・生徒の減少にどう対処するか、また、災害時の調理場利活用や複合的な利用方法なども併せて検討する必要があると考えております。
先ほど教育部長が答弁したように、調理場の計画的な更新の検討を進めていく考えでありまして、令和6年度には学校給食課にそのための職員配置も行っております。
教育委員会として取り組まなければいけないさまざまな課題の中でも優先度の高い課題であると認識しております。

既に調理場の更新に向けた人員配置も行っているとのことで、少し安心をしました。
更新に際しては、今お答えいただいたような災害時の調理場としての考え方はもちろん、平時であっても、例えばご高齢の方の食事を作る場としての使い方など、多角的な活用が検討できるはずです。
実際に給食センターをそのように活用している自治体も複数ありますので、まずは先行事例をしっかりと研究してほしいと思います。

このテーマの最後に、給食費補助について触れます。
物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した給食費の保護者負担軽減施策が継続して行われていますが、来年度以降の実施について、現段階でどのように考えているのかを伺います。

鈴木基史教育部長

割合や対象期間は異なりますが、令和4年度から令和6年度まで実施した給食費の補助は、その時々の国からの交付金を活用しているため、一般財源からの支出は伴っておりません。
今までの取組はそれぞれの交付金の趣旨にのっとり、子育て世代への経済的な支援を公平公正に、また、行政の負担を比較的増加させずに行う手段として学校給食費の補助を行うことが考えられることを教育委員会として提案し、事業化したものでございます。
現段階では、来年度以降の実施についてのめどは立っておりません。

あくまで補助金をよりよい形で活用するための施策であったということなんだと思います。
昨今、学校給食費の無償化を行う自治体も増えてきています。
無償化の是非については議論の余地があると思いますが、学校給食の無償化という方向性について、市長のお考えをお聞かせください。

吉田英男市長

学校給食の無償化というのは大きなテーマであると思っています。
現在行っております給食費の補助についても臨時交付金を活用していますけど、優先的に給食費の補助ということを選択しています。
それほど重要なことだという認識であります。
子育て支援の観点からも、東京都の特別区ですとか、県内でもいくつかの市や町が学校給食の無償化を実施し始めています。
裕福な自治体が先行してやっているということです。
本来であれば国の全体の施策として取り組むべき課題であるという認識は、医療費の助成等と全く同じ考えでありますので、そのため国へは制度の創設を望む要望を県内のほかの自治体とともに提出させていただいています。
こどもに関する施策やサービスが自治体間競争のテーマになってしまうことは、私は適切ではないというふうに思っていますし、こどもたちを育てる世代が経済的に疲弊していることは事実でありますので、未来あるこどもたちとともに保護者の方々が元気に希望を持って日々過ごせるよう、三浦市としても支援をしたいという思いを常に持っています。
これまでも、先ほど話した小児医療費の対象年齢の引上げですとか、妊娠時の検診補助の拡充など、さまざまな子育て支援、子育て世代への援助を優先課題として実施をしてきています。
学校給食の食材を公費で調達して保護者に負担を頂かないこと、いわゆる学校給食費の無償化、これは三浦市としても今後検討し、実現すべき大きな事柄であるというふうに考えています。
子育て世代への支援策として大変有効なものであるというふうに考えています。
学校給食につきましては、三浦市は1周先行しているんですよね。
我々のこどもの世代から小中学校の給食はありました。
今は中学校の給食を実現して集中センターをつくるような動きが今活発に全国の自治体で行われていますけど、三浦市はそういった意味ではリニューアルの時期に来ていますので、こどもたちも減っているということもあって給食調理場の統合ですとか、調理場の新設というのは大きな課題として早々に取り組んでいく考えであります。
既に教育委員会にも検討の指示をさせています。
いずれにしても大きなテーマでございますので、この場でお答えはできませんけど、課題として取り組んでいくという考えをお示ししておきます。

非常に前向きなご答弁を頂いたと認識しました。
学校給食の無償化については、本来国の機能や役割が問われる部分であること、本当におっしゃるとおりだと思います。
引き続き国に要望は上げていただいた上で、本市のこどもや子育て世代が本当に求めている支援策は何なのか、しっかりとニーズを把握しながら引き続きご検討いただくことを要望して、テーマ1の質問を締めさせていただきます。

(実際の議場ではこのタイミングで暫時休憩)

石﨑遊太

続きまして、テーマ2番、こどもの安全・安心のための環境整備に入らせていただきます。

まず初めに、(1)番、通学路の安全対策についてです。
何度か取り上げているテーマですが、進捗も含めて確認させていただきます。
まずもって重要になるのが、3年に一度の頻度で実施される通学路合同点検です。
先ほど石橋議員からもご質問があった項目ですので、なるべく重複を避けて質問させていただきます。
今年度に実施されるとのことでしたけれども、具体的なスケジュールについて、点検の概要も含め、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

今年度実施いたします合同点検ですが、5月から6月にかけて各学校から事前点検状況の報告を受けまして、それを取りまとめた上で合同点検実施の調整を行い、7月にかけて現地を点検いたします。

実際の点検はこれから行われるとのことです。
前回実施の際には何か所の点検が行われたのかを伺います。

鈴木基史教育部長

前回、令和3年度の合同点検では、実際に30か所の点検を実施いたしました。
対応が必要と判断された15か所については県に報告いたしてございます。

特に小学生の通学路の危険箇所については、多くの保護者が不安に感じているところだと思います。
小学校が行う事前点検箇所は、どのような基準で選定されるのかをお聞かせください。

鈴木基史教育部長

道路が狭い、見通しが悪いなど、これまで危険、要注意箇所とされていた箇所に加えまして、見通しがよい道路や幹線道路の抜け道となっている道路などの速度が上がりやすい箇所、過去に事故に至らなくてもヒヤリ・ハット事例があった箇所、保護者、見守り活動者、地域住民等から市に改善要請があった箇所などを学校における事前点検箇所を選ぶ際の観点としてお示ししております。

従来の箇所だけではなくて、状況や要請に応じて、常にアップデートされているということで理解をしました。
各学校から上がってきた事前点検箇所が集約され、その中から合同点検箇所が選定されることになるわけですが、教育委員会としてはどのように点検箇所を選定するのか、お伺いします。

鈴木基史教育部長

教育委員会では、学校からの事前点検結果の報告を受け、これまでの合同点検の結果等を活用いたしまして、効率的かつ効果的な点検となるよう点検箇所の選定を行ってございます。
その際、民地など、明らかに公による対応ができない箇所、当面の安全性が確保されている箇所は点検箇所から除いております。

前回、合同点検を行った結果として具体的な対応策を講じた箇所がいくつあったのか、一例も含めてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

令和3年度の点検の結果、県に報告した15か所につきましては、全て対応済みとなっております。
例を挙げますと、市道14号の初声小学校校門前につきましては、三浦縦貫道からの車両流入により交通量が多くなっていることから、令和4年度に安全対策としてカラー舗装とラバーポールの設置を行いました。

文部科学省、国土交通省、警察庁が定めた通学路における合同点検実施要領によれば、危険箇所などについては可能な限りホームページで公表することが望ましいとされています。
本市はこの部分について対応できているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

結果の公表は行ってございません。ただし、危険箇所につきましてはそれぞれの小学校に知らせておりまして、各校において登下校における危険箇所について家庭に周知の上、必要に応じて児童に指導しているところでございます。

各学校で児童・生徒の家庭には周知がなされているということですが、危険箇所についてこどもたちに指導するだけでは不十分だと思います。市民一人ひとりに危険箇所を認識してもらうことも重要だと考えます。
プッシュ型の周知施策が難しかったとしても、ホームページに危険箇所を掲載することは効果的かつ現実的な施策なのではないでしょうか。
ご検討いただきたく思います。

さて、来年度は剣崎小学校と南下浦小学校の統合が行われます。
当然ながら通学路経路が今までと変わってくる児童が多く出てくるわけで、通学路にも変更が生じることが予測されますが、統合後の通学路はどのように指定されるのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

通学路につきましては、学校が指定いたします。
ですので、南下浦小学校と剣崎小学校の統合後に指定される見込みとなっております。

運用上、通学路の指定についてはどうしても統合後になってしまうということなのだと思います。
しかし当然、統合後に通学路が変更される見通しなのであれば新たな点検箇所も発生するものと思われます。
本年の合同点検で追加予定の箇所はあるのか、お聞きいたします。

鈴木基史教育部長

各小学校におきまして、今年度の点検箇所について検討しているところでございます。
今のところ追加は未定となっております。

現状では新たな通学路の指定は統合後のタイミングであり、そして、今回の合同点検の点検箇所については未定であるということなのですが、統合後に新たに指定された通学路に危険箇所が見つかるようなことがあってはならないと思います。
現時点で統合までの期間に通学路の安全についてはどのような措置を考えているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

通学路の指定時期にかかわらず、統合に向けた検討の中で上がってくる児童の登下校における要注意箇所、危険箇所につきましては、随時必要な対応を図っていく考えでございます。

まずは要注意箇所、危険箇所となり得る箇所の事前確認をできるだけ早いタイミングで行うよう求めます。

さて、これまでの一般質問や予算審議における総括質疑の場で、統合後の登下校時に使用されるバスについて、増便やダイヤ改正に関して事業者との交渉状況を何度も確認させてもらっています。
この部分についての進捗状況をあらためてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

バス事業者とは統合によって影響が出ると思われる登下校時のバスの増便やダイヤの調整について話をしてございます。
バス事業者からは、登下校時のバスの運行案を提示してもらいたいとの話がございましたので、バスの運行案作成のため南下浦小学校、南下浦中学校及び剣崎小学校の校長と打合せを行い、検討を始めております。
今後、曜日や時間別に想定される児童・生徒のバスの乗降数等を整理いたしまして、運行案を作成してバス事業者と協議を進めていきたいと考えております。

やっと具体的な進展がお聞きできたので少し安心をしました。
引き続き密なコミュニケーションをお願いします。

バス通学に関しては経済的な支援の議論も何度か行わせていただきました。小児IC運賃の一律化など、当初は想定していなかった料金体系の変更なども出てきた中で、あらためてどのような支援を行っているのか、今後の予定も含めてお尋ねします。

鈴木基史教育部長

バス通学に関する補助につきましては、今までどおり小児定期券の購入費用の2分の1を補助することに変更はございません。
ただし、補助金の申請につきましては、今までは上半期、下半期の6か月ごとに申請を頂いておりましたけれども、1か月ごとに申請を受けられるように変更しまして、定期券購入後、できるだけ早く補助を行えるようにしております。
小児IC運賃の一律化等の料金体系の変更に対して、現時点では補助金の制度を見直す考えはございません。

現時点で補助額の見直しは行わないが、申請のタイミングに柔軟性を持たせたということです。

さて、統合後に児童・生徒が多く乗車することになる髙抜のバス停、松輪方面の下り側のバス停についてです。
ここは統合前の今現在においても児童・生徒の待機スペースとしては小さ過ぎるという声が上がっています。
過去の答弁の中でも検討課題として認識しているとのことでしたが、こちらの対応についても進捗をお聞かせください。

鈴木基史教育部長

議員のおっしゃるとおり、バス停の安全確保を保護者からも要望されておりますので、バス停のスペースの拡幅について、現在土地所有者と調整を進めております。

こちらも具体的な進捗が確認をできました。
バス通学の関連で言えば、昨年度に高円坊地区のスクールバスが始まってから8か月ほどが経過しました。
こちらは順調に運行ができているのか、確認させてください。

鈴木基史教育部長

今年度も高円坊地区から初声小学校に通う児童に対するスクールバスの運行を行ってございます。
昨年度末に高円坊地区の保護者と意見交換を行った際に感謝の言葉を頂きました。
また、初声保育園の入口前に停車場所を増やしてもらいたいという要望を頂いております。
この要望を受けまして、今年度から停車場所を2か所から3か所に増やして運行しております。

新しい対応も含め順調であるということです。
質問の項目を放課後児童クラブ、いわゆる学童に移します。
放課後児童クラブたんぽぽが旭小学校の校舎へ移転する予定であると聞いています。
同クラブは、対象となる小学校が旭小学校のほかに剣崎小学校、南下浦小学校も含まれています。
現在、旭小学校以外で同クラブへ通う児童は何人いるのか、伺います。

齊藤正史保健福祉部長

令和5年6月1日時点で南下浦小学校の児童のみ2名と聞いております。

旭小学校への移転というのは、児童や保護者にとっては喜ばしいことである一方で、今確認したところ2名とのことですが、旭小学校以外の児童が同クラブを利用しづらくなることは間違いありません。
この状況について市はどのように考えているのかをお聞かせください。

齊藤正史保健福祉部長

移転に伴い、南下浦小学校に通う児童は放課後児童クラブたんぽぽへの移動距離がさらに長くなることから通所の安全性への懸念が生じ、利用をためらう家庭があることは想定しております。
本市にはほかにも放課後児童クラブがない学区があるため、通所の安全確保を市全体の課題として捉え、実情を把握した上でそれらの学区も含めた支援策を検討する必要があると考えております。

確かにこの課題は、学校に学童が設置されていない他の小学校、名向小学校や三崎小学校の児童にも関わる話であります。
児童数の減少が続く中、学童への通所支援という観点も今後現実的な課題となってきますので、しっかりと策を講じていってほしいと思います。
ちなみに統合後の南下浦小学校においては、児童数の増加によって学童の運営が行える可能性というのも出てくるかと思います。
当然保護者からのニーズが確認できた上での話ですが、この部分について市として把握や想定をしているのか、お伺いします。

齊藤正史保健福祉部長

現時点では具体的なニーズは把握していません。
なお、市内全体の放課後児童クラブの利用希望者数がこれまでも定員を上回ったことがなく、今後も同様の状況が続くと見込んでいることから、現時点では新たに放課後児童クラブを増やすという考えは持ってございません。

通所支援も重要な施策ではありますけれども、そもそもニーズがあれば南下浦小学校内に新たに学童を設置するという考え方もできるはずです。
学童の運営に関しては手法もさまざまであり、市内の利用児童数のバランスも考える必要があるかと思いますが、これまでも通所実績だけでニーズがないと判断するのはあまりにも短絡的だと思います。
今後、南下浦小学校に通う児童の保護者の潜在的なニーズも含め、十分な把握に努めていただき、学童を利用する機会が全てのこどもたちに平等にもたらされるよう、設置の可能性についても検討していくことを要望いたします。

石﨑遊太

(2)番、市内小中学校の修繕体制に移ります。

消費者安全調査委員会が令和3年に発表した報告書によれば、日本全国で学校施設の老朽化が原因と思われる重大事故が毎年60件程度発生しています。
文部科学省の報告資料によれば、老朽化による学校施設における安全面の不具合は、平成23年から平成28年の5年間で約2倍に増加しているとの指摘もあります。
このような情勢の中で本市の学校施設の安全管理について確認をさせていただきます。

まず初めに、直近3年程度の実績で構いませんので、学校施設の老朽化が原因で児童・生徒がけがをしたような事例があるのか、伺わせてください。

鈴木基史教育部長

直近3年間につきまして、学校施設の老朽化による整備不足等が原因で児童がけが等をした事例はないと認識しております。

安全の確保のためには定期的な点検というのが必要不可欠になってきます。
学校施設の点検方法について、文部科学省の手引等にも示されていますが、本市の点検はどのような形で実施されているのかをお聞かせください。

鈴木基史教育部長

学校施設の点検につきましては、文部科学省の手引等には建築基準法や消防法に基づく法定点検の方法は示されていることは認識してございます。
消防法に基づく法定点検につきましては全ての学校に義務づけられていることから、毎年消防設備の点検を実施しております。
建築基準法に基づく法定点検につきましては、市町村に建築基準法に基づく建築主事を置いている場合等に義務づけられているため、本市では建築基準法の法定点検は実施してございません。

建築基準法の法定点検を実施していないということですが、普段どのような点検が行われているのかを伺います。

鈴木基史教育部長

現状の学校施設の点検方法につきましては、日頃から学校において教職員の目により、目視等により点検を行っております。学校で点検した結果を受けまして、必要と判断した場合には教育委員会職員による点検を行って状況の把握に努めております。
文部科学省からの通知により、建築基準法の法定点検の実施義務がない学校設置者に対しても有資格者による専門的な点検を定期的に実施するよう要請されていることから、点検の実施についても検討してまいりたいと考えております。

日頃の現場の努力で何とか点検を行っている状況なのだと思います。
技術的な知識を有した人材による定期的な点検が行われていないという現状は本市だけの話ではなく全国的な課題であるという指摘もあります。
財政的な厳しさもあると思いますが、例えば自治体によっては市長部局と教育委員会の連携による技術職員が点検を実施する取組や、学校以外の施設も含めた包括的な管理委託によって歳出を抑制しながら専門的な点検ができる体制を実現している事例もあります。
創意工夫で、より質の高い点検手法を模索してほしいと思います。

さて、令和3年度に策定された学校施設の長寿命化計画についてですが、統廃合検討対象校が決まった時点で見直しを行うべきだと考えます。
この部分についてどのような認識をお持ちか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

学校施設の長寿命化計画では、三浦市学校教育ビジョンにおける小学校の適正配置が決定された際に計画を見直すこととしているところでございます。
令和4年度に三浦市学校教育ビジョンが改訂され、学校の統廃合を段階的に進めることとなりました。
学校施設の長寿命化計画につきましては、今後の適正配置の進捗を見ながら見直しに向けた検討をすることになると承知しております。

小学校の適正配置の是非というのはこれからも議論していく必要がありますが、ここが定まらなければ学校の長寿命化計画が前に進まないことも事実です。
今回の質問では学校教育ビジョンについては触れませんが、このあたりも見通しをつけてしっかりと見極めてほしいと思います。

さて、学校施設の大規模な修繕に関しては、財政的な部分で一気に進めることは難しいでしょうが、危険性のある箇所の細やかな修繕対応は可能であるはずです。
こうした対応は年間を通してどれぐらいの件数が実施できているのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

学校施設の修繕等につきましては、予算積算時に学校から要望を受けております。
小中学校全体で年に大体100件以上の修繕等の要望がございます。
修繕要望には小規模なものから大規模なものまでございまして、財政的なことも検討して学校と協議しながら優先順位を決めて修繕等を行っております。
その他にも学校からは日々の学校運営の中で施設に支障が発生した場合に修繕等の依頼がございます。
教育委員会として現場を確認した時点で対応を決めております。
そのような修繕等は直営や事業者対応を合わせて1年度に200件以上行っております。

大きな修繕は一気に行えなくても、日々の細かい修繕対応は年間200件以上に上るということです。
大規模な修繕に関しても各校が切実な思いで要望を上げているはずです。
そんな中で修繕の優先順位をつけるのは非常に心苦しい作業だと思います。
しかしながら、こどもや保護者の立場で考えれば、いつも予算の要望を上げているけれどなかなか通らないといった説明だけでは修繕が進まない状況に対する納得感がありません。
優先順位や見通しを含めた修繕計画の見える化を可能な限り進めて納得感と安心感を高める施策の検討をお願いします。

この小項目の最後になりますが、グラウンドの安全管理についてです。
先月、上宮田小学校のPTAの有志の方々が集まり、同校のグラウンドでむき出しになっていた石を取り除く作業などを行ってくださいました。
本当にありがたいお取り組みだったと思います。
市としてグラウンドの安全管理についてはどう行っているのか、お尋ねします。

鈴木基史教育部長

上宮田小学校のグラウンドの整備につきましては、報道にもありましたとおり、PTAの皆様が土を入れていただきまして整備していただきました。
本当にありがたいことだと思っております。
グラウンドにつきましては、学校で砂を入れて整備をしていることが多いのですが、大規模な改修はできていない状況でございます。
グラウンドの土や砂が雨風の影響によりなくなったり、石等が露出している箇所があることや水はけが悪い状態になっていることは認識しております。
グラウンドにつきましては、測量により勾配等を確認したり、改修する範囲、入れる砂の量や種類、それから、実施時期の検討が必要になっておりますので、このあたりを調整しながら行っていくものと考えております。

校舎だけではなくて、こどもたちが体育の授業や休み時間、放課後に使うグラウンドも大切な学校施設の一部です。
こどもたちがけがなく思い切り遊べるグラウンドの安全管理も校舎の修繕と同じレベル感で動いていってほしいと思います。

石﨑遊太

最後の項目になります。(3)番、いじめの現状と対策についてです。

国のいじめ対策推進法が平成25年9月に施行されてから10年以上が経過しています。
この法律が画期的だったのはいじめを被害を受けたこどもが心身の苦痛を感じているものと定義し、加害者や教職員の認識ではなく、被害を受けたこどもの立場に立って判断しようとしたことにあると思います。
しかし、今でも学校でのいじめに関する報道が後を絶ちません。
いじめを取り巻く状況は変わっていないというより、悪化しているとさえ見えます。
初めに、本市におけるいじめに関しての認識をあらためて伺います。

及川圭介教育長

いじめは、いじめを受けたこどもの人権を著しく侵害し、尊厳を損なうものであります。
人間として絶対に許される行為ではないというふうに認識しております。

いじめ対策推進法が成立したのが平成25年6月です。同法第6条によれば、地方公共団体は基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について国と協力しつつ当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有するとあります。
一方で、本市におけるいじめ基本方針が制定されたのは平成30年7月です。
同法の成立から5年以上のタイムラグがあるわけですが、ここの理由について説明を頂きたく思います。

及川圭介教育長

いじめ対策推進法の施行によりまして、国及び学校にはいじめ防止基本方針の策定の義務が生じております。
地方自治体につきましては努力義務とされておりました。
本市のいじめ防止基本方針が策定されるまでの間につきましては、県が策定いたしました神奈川県いじめ基本方針に準じまして対応してまいりました。
その後、本市の状況を十分に勘案いたしまして、平成30年に三浦市いじめ防止基本方針を策定したものであります。

いいように捉えれば、当時、本市におけるいじめを取り巻く環境はそこまで窮迫した状況でなかったとも考えられますが、果たして本当にそのような状態だったのでしょうか。
多少なりとも楽観視していた部分があったのではないか。
そういう見方もできると思います。
今そこを問い詰めても仕方がないので、現状の事実確認に移ります。

文部科学省は問題行動調査を毎年行い、公表していますが、どのような行為がいじめとされるのか、あらためてお尋ねします。

鈴木基史教育部長

児童・生徒に対して、その児童・生徒との一定の人間関係にある他の児童・生徒が行う心理的または物理的な行動を与える行為であって、行為の対象となった児童・生徒が心身の苦痛を感じているものをいじめとして定義しております。

本市において数字が確認している令和4年度までの直近3年間のいじめの認知件数についてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

国の行いました児童・生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査に基づく認知件数をお答えいたします。
令和2年度は小学校33件、中学校15件、令和3年度は小学校29件、中学校35件、令和4年度は小学校39件、中学校59件でございました。

実数を聞くと、やはり少なくないなという印象を持ちます。
そのうちいじめが解消された割合はどの程度あるんでしょうか。

鈴木基史教育部長

令和4年度につきましては、小学校において解消率が97.4%、中学校においては100%でございました。

解消したと判断するには相当の慎重さが求められることになりますが、何をもっていじめが解消したとみなされるのでしょうか。

鈴木基史教育部長

被害者に対する心理的または物理的な影響を与える行為がやんでいる状態が相当の期間継続していることをもって解消と定義しております。

相当の期間というのは、状況によるのだと思いますが、おおよそどれぐらいの期間を指すのでしょうか。

鈴木基史教育部長

先ほど申し上げました状態の継続が少なくとも3か月ということです。

状況について理解をしました。
ちなみに、いじめの認知件数が公表されているのは直近で令和4年度までとなっています。
毎年の公表のタイミングは国の方針なのでしょうが、対策が後手に回るという意味で年度が締まってから公表までに1年半以上のタイムラグを設けているのは個人的に疑問を感じるところです。
本市がいじめに帯する適切な対応を行っているのであれば、令和5年度におけるいじめの認知件数についても把握しているはずだと思いますので、お聞かせ願います。

鈴木基史教育部長

いじめの認知件数は、議員おっしゃるとおり国の調査によって確定いたします。
調査に基づく件数とは異なる場合がございますが、3月末現在で学校から教育委員会が報告を受けた件数は、小学校で60件、中学校で62件でございます。

先ほど答弁いただいた令和2年度からの推移として見ても、年度によるばらつきがあるというよりは、やはり増加している傾向があるのかなと思います。
現状を把握できましたので、実際の取組方針について確認していきます。
いじめ対策でまず重要になるのが早期発見のための施策になりますが、どのように取り組んでいるのか、伺います。

鈴木基史教育部長

日常的な健康観察や日頃の指導中の見取りによって、まずは担任や授業担当者が児童・生徒の変化を捉え、声かけをし、様子を注意深く観察しております。
各学校では教員に対しいじめの正確な認知方法について共通理解を図ってございます。
また、いじめの早期発見、早期対応やいじめ防止の啓発を目的としたアンケート調査を定期的に行っているほか、児童・生徒が抱える困難を積極的かつ早期に発見するために、児童・生徒との個別面談を活用する場合もございます。

医療、福祉の専門機関、警察などの関係機関とどのように連携を取っているのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

いじめ問題対策連絡協議会のメンバーである三崎警察署生活安全課、鎌倉三浦地域児童相談所、少年保護センター及び子ども課とは日常的に児童・生徒の問題行動等についての情報交換を行っており、連携は取れてございます。
そのほかに、学校警察連絡協議会、児童・生徒指導担当者会、教育相談コーディネーター連絡協議会ともそれぞれ会議の場で情報交換を行っております。

いじめ防止のための財政措置について、実績と詳細を確認させてください。

鈴木基史教育部長

令和6年度予算において三浦市いじめ等に関する調査委員会の開催に係る報酬を予算措置してございます。
実績としましては、令和5年度において1回開催し、報酬を支出しております。
また、直接のいじめ防止のため財政措置はございませんが、スクールカウンセラーによるカウンセリングやソーシャルワーカー、スクールソーシャルワーカーによる市内各校巡回において、いじめに関するチームでの話合いのアドバイザーを担っていただくほか、家庭と関連機関をつなぐ役割を果たしていただいております。

関係職員の配置や活用を工夫しながら対策に動くのでしょうが、予算措置によるいじめ対策に特化した事業というのは調査委員会の開催のみであるということです。
当然ながら、児童・生徒と直接関わる教職員の意識やスキルも重要になってきますが、教職員に対する研修事業の充実について、内容をお聞かせください。

鈴木基史教育部長

神奈川県教育委員会が実施します研修の中で、いじめを含めて困難を抱えたこどもたちへの支援方法や関係機関との連携方法、地域社会とのつながり等について研修しております。
また、いじめ問題について間接的に関わるものとして児童・生徒指導担当者会議、湘南三浦教育事務所管内児童・生徒指導連絡協議会、小学校児童指導担当教員連絡協議会、中学校生徒指導担当教員連絡協議会、小中学校児童・生徒指導担当教員連絡協議会での研修や、かながわ子どもスマイルウエーブ地域フォーラムに教員を派遣しております。

それでは、インターネット上のいじめ、いわゆるネットいじめを防ぐための情報モラル教育についてはどのように実施されているのでしょうか。

鈴木基史教育部長

各学年の道徳の教科書には、インターネットを介したいじめについて考えさせるための読み物資料がございます。
そういったものを用いまして各学年に応じた授業を行っているところでございます。
また、電話会社等が主催する携帯電話教室におきまして、ネット上のトラブルやいじめについて取り上げていただいております。

状況を確認させていただきました。

さて、いじめの早期発見のための措置として、基本方針の中では問題行動やいじめの問題に関わる点検調査等の実施が掲げられています。ここについての実施状況を伺います。

鈴木基史教育部長

いじめ問題に係る点検調査につきましては、毎年度実施してございます。

これまでの点検調査によって明らかになった課題と、その課題に対する見直しの方向性についてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

昨年度実施いたしましたいじめ問題に係る点検調査の結果の解析を行っておりまして、3つの課題が明らかとなっております。
1つ目は、インターネットを介したいじめの実態把握の困難さでございます。
2つ目は、学級活動、ホームルーム、児童会、生徒会活動等の場を利用した、児童・生徒が主体的にいじめの問題に取り組む場の拡充が必要であるということでございます。
3つ目は、いじめとは何かということの周知といじめ防止対策への理解を促進する取組が必ずしも十分とは言えないということでございます。
それぞれの課題に対しましては、家庭へのアプローチ方法を工夫し、他機関との協力体制を強化するなど、各校において既に改善を図っているところでございますが、教育委員会といたしましても各校におけるこれらの改善の取組を支援していきたいと思っております。

市の認識はよく分かりました。

いじめの被害を感じた児童・生徒や保護者は、さまざまな制約の中で必ずしも学校に即座に相談、通報ができるとは限りません。
そこで、学校以外の相談、通報の仕組みが重要になってきますが、どのような体制を構築しているのか、伺います。

鈴木基史教育部長

24時間365日いじめの相談のために国が設置する子どもSOSダイヤル、神奈川県教育委員会が設置するいじめ防止対策室、三浦市教育研究所、三浦市通級指導教室で相談や通報を受けております。
これらの窓口に寄せられた相談を教育委員会が把握した場合には、学校への状況確認と学校の対応に対する支援と、必要に応じた指導を開始いたします。
令和5年度においてもこれらの窓口から相談を受けまして、学校と連携して解決に向けて取り組んだ実績が数件ございます。

学校以外の窓口から対応が始まった実例というのが直近だけでも複数あるということです。
相談、通報のハードルを下げるための取組も含め、窓口の周知徹底をお願いします。

さて、基本方針の中では、学校が実施する措置として各学校が定めるいじめ防止基本方針に基づく取組の実施状況を学校の評価に位置づけるよう努める旨の記載があります。
実際に取組の実施状況を学校の評価に位置づけている小中学校は何校あるのか、伺います。

鈴木基史教育部長

いじめ防止の項目を学校評価アンケートに位置づけ、学校経営概要評価結果として公表している学校は3校ございます。

11校中3校のみということで、ここは市の基本方針の記載と明確に乖離がある部分だと思います。
単純に学校側の意識の問題なのか、物理的に評価項目に取り入れる何らかのハードルがあるのか分かりませんが、いずれにせよ、この部分のずれは是正を要望させていただきます。

さて、いじめ防止対策推進法では、学校におけるいじめのうち、特に深刻なものを重大事態として定め、学校教育委員会、行政機関などに対処を義務づけています。
重大事態の定義としては、いじめにより当該学校に在籍する児童等の生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがあると認める事態、またはいじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認める事態とされています。
 本市において、これまで重大事態と認定した実績と、その際の対応について伺いたいと思います。

及川圭介教育長

三浦市いじめ問題等対策連絡協議会等条例の施行後、これまでに1件がいじめの重大事態として市長への報告がなされております。
三浦市いじめ等調査委員会におきまして、いじめの原因調査と学校対応の検証、再発防止に向けた対策の助言が行われました。
教育委員会といたしましては、調査委員会からの答申を受けまして、学校において取り組むべき事項を市内全小中学校に通知いたしまして、いじめの未然防止、早期発見、早期対応及び再発防止に向けた学校の取組の徹底を求めているところでございます。

実際に重大事態として認定されたケースがあったということです。
内容や対応の詳細は個人情報にも関わりますのでこの場で確認することは控えたいと思います。
そこで、一般論としての事実確認をしますが、重大事態は、誰が、どのような基準で判断するのか、お聞かせください。

鈴木基史教育部長

原則としまして、いじめの重大事態であると判断するのは学校でございます。
学校では、三浦市いじめ防止基本方針に示されているとおり、いじめを受けている児童・生徒の生命、心身または財産に重大な被害を生じている場合、いじめを受けている児童・生徒がいじめが原因で相当の期間欠席を余儀なくされている疑いがある場合に重大事態と判断いたします。

基本的に重大事態認定についての裁量は各学校に委ねられているとのことです。
基本方針によれば、学校内現場においていじめ対策のための組織を常設することとなっています。
組織のメンバー構成についてお聞かせください。

鈴木基史教育部長

学校におけるいじめ防止対策方針に基づきまして、管理職、児童・生徒指導担当者、教育相談コーディネーター、養護教諭、学年長、学年生徒指導担当、各学年の教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等、いじめ防止等に関する日常の課題に機動的に対応できるメンバーを選んでおります。
また、対応する事案の内容に応じまして、学級担任や教科担任、第三者を加えるなど、柔軟な組織運営を図っております。

ここも基本的には学校ごとに委ねられている部分なのだと思います。
学校ではなく、市におけるいじめ防止等のための組織としては、三浦市いじめ問題等対策連絡協議会が挙げられます。
この組織構成と開催実績についてお尋ねをします。

鈴木基史教育部長

三浦市いじめ問題等対策連絡協議会の組織構成は、小中学校の校長や教頭、児童・生徒指導担当教員、教育委員会指導主事、神奈川県警察本部職員、三崎署職員及び鎌倉三浦地域児童相談所職員等となってございます。
昨年度の開催実績は2回で、三浦市内の児童・生徒のいじめ等の問題行動の現状報告等により、関係機関におけるいじめ対策の認識の共通化を図っております。

本市の学校におけるいじめと対策について取り上げました。いろいろと調べていく中で、早期発見に向けた体制に関しては先生方の努力が垣間見えると感じました。
日常的なコミュニケーションやアンケート調査の実施などにより、児童・生徒の細かい変化を見抜こうとする姿勢については敬服するばかりです。
しかし、いざいじめが起こった後の対応を含め、解消までのフローについて、まだまだ改善の余地があるのではないでしょうか。
既にご存じかとは思いますが、ここに関してはいじめ対策で先進的な取組をしている寝屋川市の施策が非常に参考になると思います。
これまで一般的ないじめ対応と言われていた学校や教育委員会が行う教育的アプローチに加え、いじめを人権問題として捉え、市長部局による調査やいじめの即時停止を行うという、行政的アプローチを並走させていることが大きなポイントです。
行政がここまで踏み込んでいじめ対策を行うという姿勢は、こどもたちや保護者に大きな安心感を与えていることでしょう。
本市もいじめの根絶に向けて、学校や教育委員会に対応を丸投げするのではなくて、もっと行政としての関与を強めるべきだと感じます。
実際に本市において今でもいじめに苦しんでいるこどもたちがいます。
いじめは命に関わる問題です。
本市のいじめ対策が本当に十分であると言えるのか、本気でいじめを根絶させようという気概があるのか、いま一度よく考えていただきたいと思います。今後もこのテーマについては、変化をきっちり追わせていただきます。

石﨑遊太

以上で質問を終わります。

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