こんばんは。
いしざき遊太です。
そろそろ三浦大根も今シーズンラストかなと思い、4㎏超えの大物でおでんを作ってみました。
三浦大根、やっぱりおいしい…
甘みがあって、みずみずしいのに全然煮崩れしないんですよね。
夫婦二人であっという間に食べつくしてしまいました。
おでんといえば小さいころ、三浦市営プール(当時)で父と遊んだ帰りに近くでおでんを買ってもらっていた記憶が残っています。
あらためて考えたらプールで遊んでいるのは夏のはずだし、そんな季節におでんなんて売っていたんでしょうか?
どんなお店で買ったのかもおぼろげなのですが、プールでちょっと冷えた体を温めてくれたあのおでんの味わいだけは、はっきり覚えているんですよね。
この記事を書いていてふと思い出したので、今度父に聞いてみようと思います。
さて、最近ありがたいことに「HP見たよ!」と言ってくださる方が増えてきた気がします。
その中で時々「ソムリエやってたの?」と聞かれるので、この場を借りてお答えしたいと思います。
プロフィールの保有資格欄に『J.S.A.ソムリエ』と記載していますが、結論から申し上げると、私は飲食業に従事するいわゆる“ソムリエ”としての経験はありません。
そもそもソムリエとは、『飲食、酒類・飲料の仕入れ、管理、輸出入、流通、販売、教育機関、酒類製造のいずれかの分類に属し、酒類、飲料、食全般の専門的知識・テイスティング能力を有するプロフェッショナル』(一般社団法人日本ソムリエ協会より抜粋して引用)を指します。
その語感の良さからか、『○○ソムリエ』などと様々な資格名や肩書の一部に使われることも多いワードですよね。
ワインの歴史が深いフランスやイタリアではソムリエは国家資格としての位置づけですが、日本では民間の呼称資格となります。
“本来の”ソムリエ資格として一般的なのが、一般社団法人日本ソムリエ協会(以下、JSA)による『J.S.A.ソムリエ』の呼称資格認定試験です。
私はこの認定試験に合格した有資格者、ということになります。
少々わかりにくいのですが、もともとJSAの呼称資格認定試験には
- ソムリエ(主に飲食店などのサービス従事者向け)
- ワインアドバイザー(主に酒類の流通・販売の従事者向け)
- ワインエキスパート(受験のための条件無し=満20歳以上であれば誰でも受験可能)
の3種類がありました。
※ソムリエとワインアドバイザーはそれぞれの業種に3年以上従事する必要あり
この分類が2016年に変更となり、ワインアドバイザー資格がソムリエ資格に統合されることとなります。
私が以前勤めていた会社ではワイン製造・販売も行っており、私自身もメイン商材ではありませんでしたが、ワインの営業をおこなっておりました。
そのため当時でいうワインアドバイザーの受験資格があり、資格統合後にソムリエ試験を受験、合格という流れになりました。
試験には抜栓などのサービス実技も含まれるのですが、サービスのプロとしてのソムリエというわけではございませんので、ご了承ください。
結局JSAのソムリエ資格も、ワインを中心とした酒類のプロフェッショナルとしてあくまで“最低限の知識”を身につけていることを示すためのものであり、資格取得後からがスタートラインといったイメージで間違いないかと思います。
しかし試験の合格もなかなか険しい道のりです。
資格取得のためには3次試験までクリアする必要がありまして…
まず、知識を問う1次の筆記試験(CBT受験)。
とにかく暗記です。ワインの勉強というより、地理の勉強といっても差し支えないでしょう。
ワインの知識として必須なのが、原産地呼称保護制度になります。
フランスでいえばA.O.P(Appelation d’Origine Protegee)、イタリアでいえばD.O.P(Denominazione di Origine Protetta)などなど…
アルファベットが入ると急にとっつきにくくなるのですが、要は品質の低い“偽物”や“まがい物”がその地域のブランド名を名乗ることを禁止する(=ちゃんとルールを守っている生産者を保護する)ための制度です。
例えば仮に『みうら豚』という質の高いブランド豚があるとしましょう。
消費者が誤認しないようにするためには、『みうら豚』を名乗るにあたって、どういう種類の豚を、どれくらいの飼育期間で、どんな飼育環境で、といったルール設定が必要になりますよね。
こうすることで適当な豚に『みうら豚』というラベルをつけて販売するような悪徳業者を排除することができます。
ワインにはそれぞれの国により、原産地呼称保護のための制度が厳格に定められているのです。
(フランスをはじめとしたヨーロッパではワインだけでなくチーズやオリーブオイルにも厳格な呼称保護制度があります)
このルールを覚えるのが、ソムリエ試験としての勉強の第一歩になります。
フランスやイタリアだけでなくジョージアやギリシア、ニュージーランドといった島国に至るまで、世界中のワイン産地が試験範囲ですから、あまりの原産地呼称の多さに何度も心が折れそうになったものです。
この1次試験が鬼門で、挫折するとすればここ。
私の場合は前職の退勤後にコツコツ勉強&試験前のお盆休みはすべて捧げました(泣)。
ちなみにソムリエ試験もワインエキスパート試験も1次試験の内容や難易度に差異はないそうです。
そして1次試験を突破したら待っているのが2次試験。
ソムリエ試験の場合は、赤ワインと白ワインの計3種類+その他の酒類2種類をテイスティングし、ワインの特徴についてマークシートで選択しつつ品種や生産国、ヴィンテージなどを答えるというものです。
これらの項目について、外した瞬間不合格というわけではありません。
(どんなに優秀なソムリエでも、すべてのワインをブラインドで言い当てることなど不可能です)
一方で、そのワインの特性を感じとるうえで、外してはいけないポイントもあります。
個人的にはそのポイントの識別能力を確かめるための試験だと思っています。
ちなみに論述試験(3問)も同時に行われます。
私の受験時、2問はすらすら書けたのですが、最後の問題が「オーストリアン・ゼクトg.U.について説明せよ」という予想外のもので焦りました。(テンパって知識が吹っ飛びました)
2次試験に合格したら、最後はサービス実技のテストである3次試験。
例年、試験官の前で赤ワインを実際にサーブするという内容です。
私はサービスに関しては素人に毛の生えた程度でしたから、何度も何度もシミュレーションをしました。
グループで行う試験なのですが、両サイドの方がおそらくサービスの経験者で、あまりにも鮮やかに抜栓するので焦ったものです。
結果として、なんとか一発で合格することができました。
以上、頼まれてもいないのに書き始めたソムリエ試験の概要でした。
独学で自作ノートを作りながら勉強していたので、試験対策のノウハウは結構あると自負しています。
もしソムリエやワインエキスパートの試験に興味があって勉強したい!という方がいたら、お気軽にご連絡ください。
ワインといえば、三浦でも「小網代湾海底熟成ワインプロジェクト」の取り組みがありました。
わがままを言えば熟成だけでなくて、ぶどう栽培からワイン醸造まで、三浦半島で行えたら面白いですよね。
ハードルが高いことは承知していますが…
ワインはなぜかハードルが高くて、とっつきにくいイメージがあります。
日本酒や焼酎、ウィスキーについてはこれが好き、あれが好きと胸を張って言える人が多い印象ですが、ことワインになるとどうも語ることが憚られる雰囲気を感じます。
最初は好き嫌い、美味しい美味しくないというシンプルな指標で飲んだら良いんです。
ワインもつまるところ食中酒ですから、「何を飲むか」よりも「何と合わせるか」という観点が重要になってくると思っています。
マリアージュという言葉をご存じの方も多いかと思いますが、料理とワインがぴったり合った時の幸福感は、何物にも代えがたいものがあります。
ひとつ美味しいなと思えるワインに出会えたら、ほんの少しでいいのでそれがどんなワインなのか、調べてみてください。
もし近くに詳しい人がいたら、聞いてみてください。
三浦にお住まいの方は、ぜひとも私にそのワインを教えてくださいね。
試験を通じて学んだのは、ワインの知識はもちろんですが、生産者を保護する制度設計の重要性です。
三浦の豊かな食材もブランド力をさらに高めることだけでなく、最前線で頑張る生産者さんたちをしっかり守る環境整備が必要なのかもしれませんね。
赤ちゃんがもう少し大きくなるまで、しばらく禁酒生活が続きます。
少々マニアックでとりとめのない投稿になってしまいましたが、ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
石﨑 遊太
↓ソムリエ3次試験当日の私です。(試験後でホッとしている)