こんばんは。
石﨑遊太です。
今日も一日スケジュールがタイトで、ようやく就寝前のこの時間にブログを書くことができます。
昨日の振り返り記事でも触れましたが、先日参加してきた自主研修の報告をしたいと思います。(第1弾)
先週は10月10日から12日までの3日間、全国市町村国際文化研修所(JIAM)で行われた議員研修に参加してまいりました。
研修所は滋賀県の唐崎にあり、とても立派な施設でした。
今回の研修は三浦市議会としての研修ではなく、一議員としての個人応募での自主研修となります。
もちろん宿泊を含めた研修費用や移動のための交通費など、全て自費での参加です。
議員報酬自体が税金だろ!というお声もあるかもしれませんが、議員報酬が生活費も含めた自由に使えるお金である以上、自費参加であると言い切って差し支えないと思います。
そして何より、三浦市議会は政務活動費の不交付団体です。
つまり調査研究のために、いわゆる経費として使えるお金は一切ありません。
(市としては県内唯一の不交付団体です)
ここについては色々と思うところもありますが、またどこかの機会で論じたいと思います。
とにかく結論としては、本当に参加して良かったと思える素晴らしい研修でした。
大テーマは『人口減少社会における議会の役割』。
講義中にPCでとったノートの文字数は6,000字越え、11ページにもなりました。(もちろん配布資料への書き込みなどは別)
その内容のエッセンスと私の所感を、復習も兼ねてこの記事でまとめたいと思います。
※あくまで私が講義を受けてのまとめなので、聞き間違いも含め数字や事実認識に誤りがあるかもしれません。参考程度に留めるようお願いします。
【1日目】
テーマ:地方行政の現状と課題〜2040年を見据えて〜
講師:金﨑健太郎氏(武庫川女子大学経営学部教授)
冒頭でおっしゃっていたのは、大学で教鞭をとっている中でわかるのが、8割以上の学生が人生や社会に暗いイメージを持っているということ(明確な事柄ではなく、漠然としている?)。
不安の一つが人口減少による諸問題、たとえば年金がもらえなくなることなど。
長寿化、つまり人生が長くなることは、決して悪いことだけではないのでは?
そして現在、日本は先進国として豊かな水準にある(=悲惨な現実とはいえない)のでは?
といった問題提起から始まりました。
講義前半は、国際比較や日本国内の推移について、データに基づいた現状分析が主な内容でした。
- そもそも人口減少と少子高齢化は次元の違う話であるから、一緒くたにしてはならない。
- 明治維新ごろに約4000万人であった日本の人口は戦後でも約8000万人であり、傾向としてはずっと人口増となってきた。
- つまり、人口減少については経験がなく、日本社会にとっては未知の課題であると言える。(だから漠然とした怖さがある)
- 人口における年齢構成比(高齢化)については、ずいぶん前から予測ができていたにもかかわらず、大きなテコ入れができていない状態。
- 日本の合計特殊出生率は国際的に最低水準にある(1.30)。
後半は、そういった状況の中での地方分権についての内容。
- 平成は自治体にとって、地方分権と市町村合併という2つのキーワードが大きく動いた時代(2つは表裏一体)
- 平成の合併は昭和の合併とは異なり、行政改革以外に特段の大義のないまま突き進んだ。
- 地方分権の背景には、中央集権型行政システムの制度疲労、国際社会への対応、高齢社会・少子化社会への対応などがあった。
コロナ対応によって浮き彫りになった国と地方の関係における課題については特に興味深かったです。
(コロナが地方自治におけるある種の“抜き打ちテスト”になった)
- 日本の地方行政の大きな特徴が『相互参照』(行政も議会も他の自治体を見て活かす)。
- 相互参照自体は悪いものではないが、コロナでは悪い部分が露呈してしまった。
- 10万円のコロナ給付金やGoToトラベルは元々国の施策であったはずだが、実施主体は地方自治体に…(議会承認)→国の責任転嫁?
- 10万円の一律給付は地方の実情にあった対策ではなく、国民の生存権保障という側面が強かったはず。
- この辺りの施策に地方議会の存在意義はあったのか?
また、事前にURLで資料が公開されていた総務省の『自治体戦略2040構想研究会』の資料は全て読み込みましたが、現状の整理としてはとても良くできた資料だと感じていました。
※気になる方はコチラからご覧になれます。
ただ、ソリューションの部分はほとんど書いておらず『じゃあどうすればいいんだよ!』という感じでモヤモヤしていたのですが、講義の中で「この資料はあくまで予測であって解決策が書かれているものではない」と言われて納得しました。
ここはある意味、それぞれの自治体が考え抜くべきところなのでしょう。
今後の自治体行政の向かうべき方向性については、
- いずれにせよ労働力は不足するので、スマート自治体への転換をベースに、浮いたリソースを難しい課題解決に割くこと
- 都道府県(もう少し大きな規模でも)との補完性の強化が必要
などと述べられていました。
講義の内容は以上になります。
下記は私の所感として…
国から地方への財源移譲が進まない現状についても現実的な分析がなされていましたが、結局のところその根本には、国の地方自治体に対する不信感によるところが大きいのだと思います。
その主体は政府の役人だけではなく、国民の不信感という意味も含んでの話です。
「地方がやるより国がやった方が安心感がある」
「地方公務員より国家公務員の方が頼もしい」
「地方議員より国会議員の方が優秀そう」
この意識転換が起こらない限り、本当の意味での地方分権は進まないんだろうなと。
これは、私が市議会議員に立候補しようと思った理由の一つでもあります。
いち地方議員であっても、少なくとも自分の得意な政策領域については官僚と対等に議論ができるくらいの実力が必要だと思います。
むしろ現場の情報に関してはこちらの方が官僚より精通しているはずですから、実情に即した分析も含め対等というより教えるくらいの矜持でなければいけませんよね。
※官僚を卑下するつもりは毛頭なく、あくまで地方議員の堕落の戒めとしての意味合いです。
現場のことをよくわかっていない国の役人(官僚)や政治家(国会議員)に、我々の生活に密着した諸課題の解決を委ねてしまって本当にいいのでしょうか?
『よくはないが、それでも国の方が信用できるんだ』
仮に市民からそう思われてしまっているのであれば、私たち地方議員にも大きな責任があると思います。
少しずつではありますが着実に、この状況を自分の行動から変えていきます。
これでも相当絞ったのですが思ったより長くなりましたので、第2弾以降についてはまた日を追って投稿させていただきます。
明日からは、私が所属している議会運営委員会の行政視察が1泊2日で行われます。
こちらは議会として行うオフィシャルな研修のため報告書がHP上に公表されますが、それとは別にブログにも所感などを書くつもりでおります。
しっかりと学んでまいります。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。
石﨑遊太