【令和7年第4回定例会】一般質問 全文書き起こし

令和7年第3回定例会のうち、12月5日に行われた私の一般質問について、自分で書き起こした全文をアップします。

一般質問については、以前の投稿(初めての一般質問を終えて)で概要をご説明しておりますので、よろしければご覧ください。

※展開がわかりやすいように、吹き出し風の文章を適宜挿入します。

※行政からの答弁、その他議員の発言については、囲み文字で記します。

※議場での発言には議長の許可が必要なので、実際には議員、職員ともに発言ごとに挙手→議長からの許可の流れがありますが、ここでは便宜的に省略します。

「一般質問なんて聞いたことがない」

「聞いていてもつまらない」

そんな感想をお持ちの方も少なくないと思います。

私としてもそのお気持ちがよくわかるので、手元に資料がなくても話の流れがつかめるよう、構成や原稿はできる限り工夫しております。

興味のある分野だけでも拾い読みしていただけたらありがたく思います。

そして感じたこと、思ったことなど率直なご意見をSNSやお問い合わせフォームから教えていただけたら幸いです。

※発言の内容は、下記の通告書通りになります。

【石﨑】一般質問 発言通告書

1.三浦海岸のエリアマネジメント
(1)海水浴場運営の歴史と枠組み
(2)MIURA FUN BEACHの成果
(3)来年度以降の海水浴場運営の課題

(4)通年利用に向けた課題と取組

2.地域福祉の推進
(1)相談支援の取組と現状
(2)災害時の要配慮者への対応
(3)障がいのある方の地域生活支援
(4)地域福祉活動の担い手


※クリックすると該当部分にジャンプします(画面右下の矢印ボタンで最上部に戻れます)

!!注意!!

下記の文章はあくまで私がYoutubeでのアーカイブ配信を個人的に書き起こしたものであり、正式な議事録ではありませんのでご了承ください。

議事録がアップされましたらこちらにそのリンクを追記する予定です。

以下発言

石﨑遊太

おはようございます。石﨑です。

ただいま議長の許可を頂きましたので、三志会の一員として質問をさせていただきます。
質問は発言通告書どおり、1番、三浦海岸のエリアマネジメント、2番、地域福祉の推進の2点になります。
一問一答方式で以後質問させていただきますので、ご答弁のほどよろしくお願いします。

目次(クリックで飛べます)

1.三浦海岸のエリアマネジメント

まず初めに、三浦海岸のエリアマネジメントについて伺います。
三浦海岸は市内でも来訪者が多い、三浦の顔の一つとも言える観光資源であり、市民の生活空間としても非常に価値が高いエリアです。
しかし、コロナ禍の影響も含め、昨年の令和6年には海水浴場が開設されないという、これまでの歴史の中でも極めて異例の事態となりました。
私自身、三浦にUターンしてきたのが令和5年7月のことでしたので、当時、既に海水浴場の運営体制には大きな揺らぎが見えており、当時からこのまま三浦海岸はどうなってしまうのかと、市民の皆さんと同じ気持ちで行く末を見つめておりました。
令和6年に海水浴場が開設されなかったことで、その懸念が現実のものとなり、多くの市民から不安や戸惑いの声が寄せられていました。

そのような中で、本年、市が開設者としてMIURA FUN BEACHを立ち上げ、海水浴場が再開の第一歩を踏み出したことは大きな意義を持つと受け止めています。
一方で、今年の取組は民設から公設へと運営形態が切り替わる歴史的な転換点でもあり、成果と同時に、今後に生かすべき課題も多く生まれたと認識しています。
だからこそ、この変化を丁寧に検証し、三浦海岸エリアを将来にわたって持続可能な形で育てていくために、市として明確なビジョンをつくり上げていく必要があります。
その観点から歴史的経緯、現状、課題、そして将来像まで幅広く伺ってまいります。

石﨑遊太

(1)海水浴場運営の歴史と枠組みについてです。

三浦海岸海水浴場は、昭和30年代に地元の有志が海の家を始めたことをきっかけに、道路整備や京急線の延伸、そして高度経済成長期といった時代背景に後押しされながら発展をしてきたと認識しております。
市はこうした歴史的背景を踏まえ、三浦海岸海水浴場が整備されていった背景についてどのように把握をしているのか伺います。

石川博英経済部長

議員がおっしゃっていただいたとおり、昭和30年代頃から徐々に海の家を営む方が現れたと言われており、その後の横須賀方面からつながる海岸道路の整備、海岸沿いの駐車場の整備、そして京浜急行電鉄三浦海岸駅への延伸など、交通インフラの整備が徐々に進められました。
加えて、高度経済成長期のレジャー需要の高まりに伴い、京浜急行電鉄が海水浴誘致のために実施した特別列車の運行、海岸での特設ステージなどを設置したイベント、ビーチセンターのオープンなど、誘客とその受入れ環境の整備が進んだことと並行して海水浴場としての整備が図られることとなり、昭和の時代において大きく展開していったものと認識しております。

私自身、こどもの頃の記憶を振り返ると、特に夏場の三浦海岸はとにかく人が多く、常に賑わっていた印象があります。
しかし、諸先輩方に伺うと、私が知るにぎわいはまだまだ穏やかなほうだったようです。
「人が多過ぎて、砂浜をまともに歩けないほどだった。」
「三浦海岸駅に着いても、降車する人が多過ぎて、次の電車が来るまで改札を出られなかった。」
そういったエピソードが次々と語られます。こうした話を聞くたびに、当時の圧倒的なにぎわい、三浦海岸が築いてきた歴史の厚み、そして、その時代を支えてこられた関係者の皆様の努力を改めて感じるところです。
そして、この三浦海岸海水浴場の運営は、長らく民間、地域の皆様が主体となって支えてこられました。

そこで当時、それぞれの組織がどのように役割を分担し、海水浴場の開設・運営を担っていたのか。その具体的なスキームについて改めて伺います。

石川博英経済部長

かつての三浦海岸海水浴場は、組織の統合などはあったものの、原則として海の家を取りまとめる三浦海岸海水浴場組合と、安全面や衛生面の課題を解決するために発足した三浦海岸海水浴場運営委員会との2つの組織が運営に携わっておりました。
こうした民間組織が海水浴場の開設から運営に至るまでを担うことで、結果的に市が開設に関与しない構図が形成されていたと認識しております。

海の家というにぎわいの拠点をつくり出す三浦海岸海水浴場組合と、海の安全や衛生面を確保する三浦海岸海水浴場運営委員会、この2つの組織、言わば2本柱が三浦海岸海水浴場の運営主体だったということです。
こうした運営体制が、市内にある他の海水浴場と比較してどのような共通点や特徴を持つのか伺います。

石川博英経済部長

一般的に海水浴場には自治体が開設者となる公設方式と、組合などが開設者となる民設方式がございますが、三浦海岸を含む市内の海水浴場は、今年の三浦海岸を除くとこれまで全て民設方式でなされてきております。
ただし、三浦海岸については、海の家を取りまとめる組合組織に加えて、三浦海岸海水浴場運営委員会という安全面や衛生面の課題解決を専門的に担い、横断的に連絡調整を図る組織を有していた点が他の海水浴場とは違った特徴的な側面であると認識しております。

三浦海岸海水浴場におけるこうした特徴的な運営体制は、それだけ三浦海岸が大きな規模を持ち、地域に与える影響も大きかったことの現れでもあると感じています。

さて、その三浦海岸海水浴場について、来場者数がこれまでどのような推移をたどってきたのかを伺います。

石川博英経済部長

現在公表されている三浦市統計書によると、平成11年には100万人を超えていたものの、平成21年には約70万人、令和元年には約35万人、そして、民設で開設された最後の年の令和5年は約8万人となっております。
レジャーの多様化や近年の猛暑の影響でそもそも海水浴客が減少していることに加え、競合する近隣市町の海水浴場との差別化において、魅力を付加することなどの取組がかなわず、結果、訪れる目的地として選択されなくなったのではないかと推察しております。

過去の新聞記事などを読み返しますと、海開きから8月末までの三浦海岸海水浴場への来場者数は1971年がピークであり、その数は約400万人に達していたとの記録があります。
既に確認したとおり、その後の来場者数は長期的に減少傾向にあり、これは海水浴というレジャーニーズ自体の低下という抗いようのない外部環境の変化が大きな要因であることは想像に難くありません。
こうした大幅な来場者数の減少は、従来の民間主体のスキームでは運営を維持することが難しくなっていた背景にも直結しているのだろうと考えます。この点について、市としてどのように分析をしているのか伺います。

石川博英経済部長

海の家の経営が困難になっていった理由には、先ほどの答弁のとおりレジャーの多様化、近年の猛暑の影響などによる海水浴客の減少に加え、経営者の高齢化や後継者不足、海の家の建設に係るコストの増加などがあると聞いております。
一方、海水浴場の開設・運営が困難になっていった理由には、安全対策等に係るコストの増加に加え、海の家の経営環境の悪化により、コストを負担すべき海の家が減少していったことが挙げられると考えております。

複合的な要因が重なって、従来スキームでの運営が難しくなっていったとのことです。

石﨑遊太

三浦海岸海水浴場の歴史やこれまでの運営体制を確認したところで、(2)MIURA FUN BEACHの成果に移ります。

令和6年に海水浴場が開設されなかった後、本年初めて市が開設者となり、新たなスキームで実施されたのが今回の取組です。
これは三浦海岸海水浴場の長い歴史の中でも非常に大きな転換点であり、市として覚悟と責任を持って踏み出した一歩であったと受け止めています。
一方で、新しい挑戦であるがゆえに、よかった点だけではなく、課題として浮き彫りになった点も数多くあると思います。
来年度以降の海水浴場運営にしっかりとつなげていくためには、今回の実施内容を丁寧に振り返り、何をどう改善していくのかを明確にしていく必要があると考えています。
その観点からいくつか確認をしてまいります。

まず、今年の運営体制についてです。今回は市が開設者となり、必要な整備、安全対策、環境面の維持管理、そしてにぎわい創出の部分をそれぞれの委託先に担っていただいたと認識しています。
従来の民設スキームとは異なる新たな公設スキームの全体像について、改めてどのような役割分担で実施をしたのか、確認のために伺います。

石川博英経済部長

議員がおっしゃるとおり、今年の三浦海岸海水浴場はこれまでの民間組織による開設・運営が困難で、かつ海の家が建設できないといった状況の中、海岸の管理者である神奈川県との協議を踏まえて市が開設者となり、一定期間イベントを行うといったスキームで実施したものでございます。
また、三浦市観光協会に対して海水浴場としての必要な整備を図るとともに、安全の確保や環境・秩序の維持、飲食の提供等に係る業務を委託しました。
加えて、株式会社ニッポン放送に対して日よけ環境の整備、イベントの企画によるにぎわいの創出、広報・プロモーションに係る業務を委託し、それぞれが役割を担いました。

これまで海水浴場運営委員会が担ってきた安全面・衛生面の確保を市及び三浦市観光協会が引き継ぎ、一方で、イベントや会場設営といったにぎわい空間の創出やプロモーションについては別途ニッポン放送に委託した上で、全体の統括を市が行う形であったと理解をしました。

必要な業務を2者に委託して運営に当たったわけですが、市としてどの程度の予算を執行したのか、従来の運営時との比較も含めて伺います。

石川博英経済部長

三浦市観光協会に委託した三浦海岸海水浴場等整備・管理運営業務に約2,400万円、この財源は企業版ふるさと納税の寄附金を約900万円、残りについて市の一般財源を充当しております。
また、株式会社ニッポン放送に対し委託した三浦海岸海水浴場にぎわい創出企画運営業務が2,000万円となり、財源は国の第二世代交付金1,000万円、市の一般財源1,000万円を充当しております。
なお、従来のスキームで運営していた最後の年となった令和5年については、市が運営団体に対し安全対策費の2分の1を上限とした基準にのっとり、約300万円を補助しておりました。

寄附金や国の交付金を活用しながらも、市の一般財源としての支出は計2,500万円。従来海水浴場に対する市の支出が安全対策費の補助に限られ、300万円程度であったことを踏まえると、今年の取組は質的にも量的にもこれまでとは全く異なる段階に踏み出したものであると受け止めています。
こうした費用の変化は、三浦海岸海水浴場の在り方そのものを再構築していく上で避けて通れない論点の一つです。
単純な費用対効果の判断は容易ではありませんが、継続的に検証し、改善を図っていく必要があると考えています。
成果の部分については、この後改めて確認させていただきます。
いずれにせよ、これだけの費用を投じて実施されたMIURA FUN BEACH 三浦海岸ですが、市として今回の取組にどのような狙いを持って臨んだのか、改めて伺います。

石川博英経済部長

まずは、三浦海岸海水浴場の再始動と併せて、三浦海岸周辺から海岸に至るエリアの活性化が挙げられます。
加えて、地元の方が楽しめる場の提供やナイトタイムエコノミーの活性化、首都圏ファミリー層へのリーチ、海水浴場の運営を担う団体の発掘、海岸の通年利用など、それぞれのポテンシャルを試みるものでございました。

海水浴場としての再始動、駅から海岸までのエリアの活性化、さらにはナイトタイムや首都圏ファミリー層への訴求など、多面的な狙いを持って実施されたとのことです。
今年は市が初めて開設者となったこともあり、とにかく再開すること自体が目的化してしまう懸念もありましたが、単なる海水浴場としての再開にとどまらず、三浦海岸エリア全体の価値をどう高めるかを意識した取組であったことは評価したいと思います。
その上で、目的が多面的であるからこそ、どの施策がどの目的にどの程度寄与したのかという分析が来年度以降の方向性を考える上で不可欠であると認識しています。

今年は海水浴場の再開と並行して、三浦海岸アートフェスティバルが駅から海岸までのエリアで展開されました。
海水浴場単体の整備だけでは駅前や商店街への回遊性や経済効果は限定的になりがちな中で、面としての三浦海岸エリア、ここをどう動かすかを意識した取組であったと受け止めています。
そこで、アートフェスティバルを同時開催した意図、そして、駅から海岸までのエリア全体のマネジメントという観点から、どのような狙いを持って実施したのか伺います。

石川博英経済部長

議員おっしゃるとおり、海水浴場の整備、開設だけでは、三浦海岸駅から海岸までの三浦海岸エリア全体への周遊や経済効果は思うようには期待できないのではないかと考えました。
そこで、同時期にアートプロジェクトを展開することにより、三浦海岸駅から海岸までのまち全体で楽しんでいただく仕掛けを講じ、駅から海岸までのエリア全体の周遊につなげるとともに、そもそも海水浴体験に興味を持たない層への訴求や、展示作品周辺のライティングによる効果演出による夕方から夜間にかけての過ごし方の提供といった狙いを持って実施したものでございます。

市としての狙いはよく理解しました。海水浴場単体の整備に終始することなく、駅前から海岸までの一体的なエリアマネジメントとしてどう成立させるかという視点は、非常に重要だと考えています。
一方でエリア全体の価値を上げていくとなると、そもそも三浦海岸はどのような方向を目指すのかという、より根本的な問いに立ち向かわなければなりません。
県内には魅力的な多くの海水浴場が存在し、それぞれが明確な方向性を持って差別化を図っています。
三浦海岸も今年の取組を踏まえ、市としてどの方向に舵を切るのかを整理しておくことが必要だと考えます。
MIURA FUN BEACHの実施を踏まえ、三浦海岸海水浴場の魅力をどのように捉え、他の海水浴場との差別化のポイントをどこに置こうとしているのか伺います。

石川博英経済部長

本年は先ほどの答弁で申し上げたアートプロジェクトのほか、ビーチスポーツ、ビーチヨガ、音楽、映画、アイドルグループの持込み企画、ラジオ番組の公開生放送など、さまざまなコンテンツがそれぞれの主催者から持ち寄られ、実施いたしました。
また、海水浴場の実施期間中に来場者アンケートや関係者への聞き取りなどを実施したところ、さまざまなご意見が頂いた中で、やはり家族で楽しめるビーチを望む声が一定程度あることが改めて分かりました。
今後は家族で楽しめるビーチとしてアップデートすることを三浦海岸海水浴場らしさの一つに位置づけ、より特化した取組を図っていくことが差別化や活性化のポイントになると考えております。

家族で楽しめるビーチを求める声が一定程度あることが改めて確認できたとのことです。
海水浴場としての三浦海岸が今後どのような客層を主なターゲットにするのか。
その方向性を考えるに当たっては、もっと深いレベルで検証を進めていってほしいと思います。

石﨑遊太

(3)来年度以降の海水浴場運営の課題に入ります。

まずは、この夏のMIURA FUN BEACH 三浦海岸における来場者数、来場者アンケートの傾向、そして、地元事業者の皆様から寄せられている声について、どのような状況だったのか伺います。

石川博英経済部長

今年の夏に実施したMIURA FUN BEACH 三浦海岸では、約10万人のお客様にお越しいただきました。
来場された方からはおおむね満足度の高い意見を頂いており、また、地元事業者からは昨年と比べて客数の増加や客単価が上がったといったご意見を頂いております。

さきのご答弁では、民設で運営された最後の年である令和5年の来場者数は約8万人とのことでした。
単純に来場者数が多ければいいというものではないため、今年の約10万人という数字をどのように評価すべきかは慎重に見極めていく必要があると考えております。
また、今のご説明ですと、アンケート結果の中身がおおむね満足だったという全体評価にとどまっていますが、実際には来場者だけではなく市民や関係事業者からのヒアリングも行っているとのことでした。
来年度以降、よりよい海水浴場運営を行っていくためには、年齢層、来訪目的、時間帯別の傾向、評価されたコンテンツ、逆に不満が集中していた点など、定量・定性の両面から、もう一段階細かい分析を行うことが必要です。

その上で、私が実際に観光客目線で現地を歩いた際に感じた改善点が主に2つあります。

1つ目は、三浦海岸駅を降りてから海岸に向かうまでの間に、歓迎ムードを演出するような仕掛けが不足していた点です。
駅から海に向かう道のりで高揚感が生まれるような工夫がもっと必要だと感じました。

2つ目は、乳幼児連れのご家族や障がいのある方に対する配慮が十分に感じられなかった点です。おむつ替えや授乳スペースがなく、また、ベビーカーや車椅子で砂浜に入る際の動線についても困った方がいらしたのではないかと率直に思いました。
こうした観点について、市としてどのように認識をしているのか伺います。

石川博英経済部長

反省点としては多々ございますが、議員がおっしゃるとおり、駅から降りてから海岸までの間、お越しいただいた方を歓迎するムードの演出が不足していたと考えております。
また、赤ちゃんなど小さなお子様連れのご家族や障害をお持ちの方への対応など、いわゆるバリアフリービーチへの対応は思うように進めることができなかったと考えております。

ここまで駅から近い海水浴場というのは全国的にも稀有なわけですから、歩行空間の整備も含め、駅から海岸までを1つのメインストリートのように位置づける構想があっても面白いと思います。
いずれにせよ、どんな客層にも満足してもらう海水浴場を目指すのは現実的ではありません。ここまでにも議論しているように、三浦海岸海水浴場としての方向性、差別化ポイントをしっかりと定め、そのターゲットに確実に選んでもらえるようなマーケティング戦略を展開することが重要です。
先ほどの指摘はあくまでも私の個人的な所感であり、誘導尋問のようになってしまいましたが、もっと大きな枠組みで見れば、今年の取組を通じて浮き彫りになった課題は他にも多かったはずです。
今後を見据える上で市としてどのような課題を認識しているのか、率直な思いを伺います。

石川博英経済部長

課題としてはですね、まずはレンタルなどで対応した経費が大きくかかる開設に伴う固定費を今後いかに圧縮できるかが、まず挙げられます。
さらに、他市の海水浴場と同様に、海水浴場の運営を担う地域の団体の存在が不可欠ではないかと考えております。
また、会場となる海岸の使い勝手について、今回キッチンカーを集積させたスペースの活用に制限があったことや、砂浜へのメインの出入口となったスロープの傾斜がきつく、トレーラーの搬入や搬出や歩行者の安全確保に難があると想定して対策を試みたこと、財源については、今年は企業版ふるさと納税における寄附や国の第二世代交付金を活用して実施したものの、今後の財源確保に課題がまだまだ残っております。
いずれにしても、今後を見据えた持続可能な海水浴場の開設・運営には、これらの一連の課題を解決しなければ再生への道が開けてこないものと考えております。

ただいまの答弁にもあったとおり、やはり経費の問題は大きいと感じています。
今回充てた財源も恒久的なものではなく、来年度以降の財源確保は避けて通れない論点です。
そして、もう一つの大きな課題が、海水浴場運営の担い手の問題です。
個人レベルでは熱い思いやスキルをお持ちの方が複数いらっしゃることは私も承知しておりますが、そうした個々の力をどう結集し、持続可能な形で組織化していくのか。
また、行政としてそこにどのような動機づけや伴走を行うべきなのか。
ここは本当に難しいところだと思いますが、来年度に向けて今すぐにでも動かなければならない部分なのではないでしょうか。

石﨑遊太

三浦海岸のエリアマネジメントを考える上では、海水浴場という夏のシーズンだけではなく、年間を通じた海岸の活用が必要だという議論はこれまでにも繰り返されてきました。
しかし、実際にはなかなか思うように進んでいない現状があります。三浦海岸の通年利用が進まない要因、言わばボトルネックはどこにあるのか、改めてお聞かせください。

石川博英経済部長

三浦海岸は神奈川県が海岸法により管理する国有海浜地であり、基本的には公衆が自由に使用できる状態の場所であることから、イベントなどで占用利用するためには県の審査を経た許可が必要になるなど、一定の条件が設けられております。
また、海岸だけでなく、海岸沿いにある駐車スペースも一体的に利用できると活用の幅が広がるのではないかと考えるところではありますが、こちらもふだんの駐車場としての利用とは異なる目的外の利用となり、かつ占有するとなると県との協議や申請行為が必要となります。
加えて、原則、営業行為や常設の構築物の設置が認められていないことから、臨時的な利用傾向が強いものとなっている現状と認識しております。

やはり県が管理する国有海浜地、つまり公共の土地を占用して使うという点が、通年利用に向けた最大のハードルであるということです。

そうした中で、昨年の秋に実証実験として実施されたうみあかりは、地元事業者の皆様のご尽力もあって、夏以外での季節でも三浦海岸が十分ににぎわいを生み出せるというポテンシャルを明確に示した、非常に意義のある企画だったと捉えています。
そして、その会場となったスペース、観光インフォメーションセンター近くのコンビニエンスストア前の空間ですが、このエリアは今年のMIURA FUN BEACHでもキッチンカーを並べて、FUN ダイニングとして活用されました。
場所としては使い勝手のいいスペースになるかと思いますが、この区画を通年利用の拠点として整備する考えはあるのか伺います。

石川博英経済部長

議員がおっしゃるとおり、昨年実証実験として開催したうみあかりや今年のMIURA FUN BEACH 三浦海岸の取組の中で、フードコート的空間としてFUN ダイニング用スペースとして活用させていただいた土地は神奈川県の所有地で、ふだんは利用されていないスペースであり、三浦海岸でのイベントを考える際、重要な拠点となっております。また、昨年、今年と三浦青年会議所が主催したイベントにおいても会場として活用された実績がございます。砂浜に付随していて、かつまとまったスペースの確保が難しい中、こうした土地を有効に活用させていただくことは、通年利用などを考える上で重要な要件の一つであると考えております。今後も引き続き利用できるよう、管理者である神奈川県横須賀土木事務所と協議していきたいと考えております。

実際に歩いてみるとよく分かるんですが、あの区画は歩道としても車道としても中途半端な空間になっておりますが、うまく整備が行えれば、にぎわい空間の創出や大型車の動線確保としてもポテンシャルがあると思います。
県土木との協議には根気強さが求められると思いますが、ぜひ主体的に進めていただきたいと思います。

そして、ハード面の整備に加えて、三浦海岸にはもともとビーチスポーツやマリンレジャーの土壌があります。
こうした取組を夏だけではなく年間を通じて生かしていくことが、エリアのにぎわいを持続的に生み出すための鍵になると考えています。
そこで、ビーチスポーツやマリンレジャーを年間を通じた取組として位置づけ、利用促進を図っていくことについて市の認識を伺います。

出口嘉一市長

現在、民間組織がおのおのイベントを企画して実施しているケースが見受けられます。
利用に際しては、管理者である県との協議、申請手続が必要となりますが、市はこれまでも助言や後援をする等などにより支援をしています。
まずはこうした民間組織からの提案に対し、積極的な助言や後援を通じた支援をしていきたいと考えております。

こうしたビーチスポーツやマリンレジャー、さらには飲食、アート、音楽など、ジャンルの垣根を越えた民間組織の皆さんこそ、まさに三浦海岸を盛り上げる地域の担い手になり得る存在です。
そうした民間の力が最大限に発揮される環境を整えることこそ、市の役割の一つだと考えています。
三浦海岸が年間を通じて多様なにぎわいを生み出すエリアになることを期待して、そしてその波及効果が市内の他の観光エリア、ひいては市全体の経済振興に良い影響を与えることを期待して、この項目の質問を終わります。

2.地域福祉の推進

続いて2番、地域福祉の推進にテーマを移します。
本市では地域福祉計画において、全ての市民が安全・安心に、また生きがいを持って生活ができる地域づくりを基本理念として掲げ、福祉の充実を地域全体で支え合う体制づくりを進めていると理解しています。
高齢化の進行や単身世帯、共働き世帯の増加など、地域を取り巻く環境が変化する中で、制度の谷間に置かれる方を生まないこと、そして、複雑・複合化する地域での生活課題に切れ目なく対応していくことが求められます。
私ごとではありますが、大学で社会福祉、特に障がい福祉を学ぶ中でたどり着いた1つの結論があります。
それは、障がいのある方にとって住みやすい地域は、障がいのない方にとっても住みやすい地域であるということです。
ここに障がい福祉を推進する意義があります。障がい福祉が決して障がいのある方への施しではなく、地域社会全体の底上げにつながる施策だということ。
そして、障がいの有無に関わらず、全ての市民にとって地域福祉の推進は重要な政策テーマであるという大前提を私の考えとして申し上げた上で、質問に入ります。

石﨑遊太

(1)相談支援の取組と現状についてです。

障がい福祉の分野においては、相談支援体制の整備が地域生活を支える入り口として非常に重要な役割を果たしています。
困り事があったときに、まず相談できる場が身近にあるかどうか。
そこから必要なサービスや支援につながっているルートが見えるかどうか。これはいわゆる地域共生社会の実現を考える上でも基盤となる視点です。
本市では令和4年度から基幹相談支援センターを設置し、地域の相談の中核機能を担わせるなど、体制準備を進めてきました。
一方で、相談件数の増加や相談支援専門員の確保・負担軽減、自立支援協議会を通じた支援者間の連携など、現場ではさまざまな課題も顕在化してきていると感じています。
そこでまず、本市の相談支援体制の柱となる基幹相談支援センターと相談支援事業所、この2つを計画上どのように位置づけ、どのような役割を期待しているのか伺いたいと思います。

新倉卓保健福祉部長

基幹相談支援センターは、障害者とその家族に対する相談支援の中核的な役割を担っており、障害の種別や年齢に関わらずさまざまな相談に対応するとともに、相談支援事業者との連携を強化して地域全体の相談機能の充実を図っております。
相談支援事業所につきましては、障害のある方やそのご家族の日常生活の困り事や、福祉サービスを利用するための手続、将来のことなどの相談に応じ、情報を提供したり、必要なサービスを受けられるようサポートを行っております。
障害者福祉計画におきましては、基本方針、みんなが支え合うまちづくりの中で、重点を置くべき事業として位置づけをしております。

機能の違いと全体像は理解しましたが、これらが実際にどの程度利用され、地域の相談ニーズにどう応えているのか、ここを把握することが重要だと考えます。
そこで、まずは相談支援の量的な実態を確認させてください。一般相談、計画相談、それぞれの件数と推移について伺います。

新倉卓保健福祉部長

まず、一般相談の件数は令和4年度が4,193件、令和5年度が4,872件、令和6年度が7,114件となっております。
計画相談の件数につきましては、令和4年度が1万7,494件、令和5年度が2万2,243件、令和6年度が2万2,416件となっております。

一般相談は日常生活の困り事や制度、サービスの相談といった入り口の相談であり、計画相談はサービス等利用計画を作成するための継続的かつ専門的な相談と理解しています。
どちらも令和4年度から6年度という直近の3年間だけを見ても、件数が大きく伸びていることが分かります。人口が減少している中で、なぜ相談件数が増えているのか。
この相談件数の増加要因をどのように分析しているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

近年、相談件数が増加している要因としましては、いくつかの要因があると思われますが、障害福祉サービスの利用という選択肢があるという情報が広がったこと、また、これまで家族で支援していたケースにつきまして、保護者の高齢化などにより支援を考える必要が生じたことなどが大きな要因として考えられます。

いずれにせよ、それだけ多くの方が支援を求め、必要なサービスにつながろうとしているということです。
そうした中で、計画相談がどの程度活用されているのか。これは相談支援体制の実効性を図る上で非常に重要な指標になると考えています。
そこで、計画相談の利用率について、その推移と県内での立ち位置を伺いたいと思います。

新倉卓保健福祉部長

計画相談利用率につきましては、障害者総合支援法分と児童福祉法分で、国から公表されている数字でお答えさせていただきます。
各年度末の数字となりますが、令和4年度は障害者総合支援法分が97.5%で県内第5位、児童福祉法分は100%で、県内では他の4団体と同率1位。
令和5年度につきましては、障害者総合支援法分が97.9%で県内第4位、児童福祉法分は100%で、県内では他の4団体と同率1位。
令和6年度につきましては、障害者総合支援法分が97.7%で県内第5位、児童福祉法分が100%で、県内では他の2団体と同率1位となっております。

障害者総合支援法分、児童福祉法分いずれも高い水準、100%に近い利用率を維持しており、本市の計画相談支援体制は誇るべき福祉施策の一つだと受け止めています。
一方で、今後さらに増加していく相談支援のニーズに現在の体制のまま継続的に対応ができるのかについては大きな懸念があり、この点は令和6年第1回定例会においても私が指摘したところです。
そこで、計画相談の支給決定者数について、令和5年度末から令和7年11月末までにどの程度増加しているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

計画相談の支給決定者数につきまして、障害者と障害児合わせてお答えさせていただきます。
令和5年度末が380人、令和6年度末が408人、令和7年11月末が422人となっており、令和5年度末と令和7年11月末で比較しますと42人増となっております。

短い期間をとっても、これだけ計画相談の対象者が増加しているということです。
こうした状況の中でも、現場で一人ひとりのケースに向き合いながら奮闘している相談支援専門員の皆様には改めて深く敬意を表します。
しかし、相談件数や支給決定者数が増え続ける中で、個々の相談支援事業所だけでは担い切れない課題が生じてくることは避けられません。
その地域全体の相談機能を支える要として設置されたのが基幹相談支援センターであると理解をしています。
この基幹相談支援センターについて、昨日、6番議員の質問の中でも取り上げられていましたが、大切なことなので、改めて設置の背景と期待される役割、機能について伺います。

新倉卓保健福祉部長

障害者総合支援法に基づき設置された新しい相談支援体制の一環であり、本市では地域の相談支援体制の強化への取組を重点的に行うこととして、令和4年4月1日に設置がされております。
業務としましては総合的相談・専門的相談、権利擁護・虐待防止、地域相談支援の強化、病院や施設から地域への定着の促進、自立支援協議会の推進が挙げられます。
共生社会の実現に向けた地域づくりの中核的な担い手として、相談支援体制の充実を図っているところでございます。

こうした基幹相談支援センターの重要性は、行政のトップである市長には最も深く理解しておいてもらわなければなりません。
改めて深く学んでいただくことを求めます。

さて、供給側のキャパシティーとして相談支援事業所数、相談支援専門員数の推移について、直近3年間の実績をお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

現在、市内3事業所が開設しておりまして、どの相談支援事業所も平成26年度から開設をしているところでございます。
相談支援専門員の推移ですが、各年度4月1日時点の人数となります。
令和4年度が10人、令和5年度が8人、令和6年度が8人となっております。

相談支援専門員のキャパシティーもこれだけ限られている中で、一般相談・計画相談数の増加を踏まえると、1人当たりの受け持つ相談件数が増加していることは明らかです。

また、相談支援体制を支えるもう一つの柱として、自立支援協議会の相談支援部門の役割も重要になってきます。
この相談支援部会の役割と、今後どのように機能強化を図っていくのかを伺います。

新倉卓保健福祉部長

障害者支援や地域福祉におきまして、相談支援事業を中心に円滑な連携や支援に生かせる幅広い情報を共有・学ぶ場として実施をしているところでございます。
年間2回開催しておりまして、内容としましては、一例ではございますが、事例検討や新しい制度についての研修会などを行っているところでございます。
今後も計画相談に関わる内容や制度、社会資源等の情報交換・情報共有、相談支援専門員のスキルアップやフォロー、相談支援業務等に携わる地域内外の関係機関等のネットワークの構築などに取り組んでいきたいというふうに考えております。

障がいの形や背景は千差万別であり、事例検討会等を通じて支援に厚みを持たせる取組は非常に意義のあるものだと思います。
一方で、相談支援の質の向上だけではなく、相談支援事業所への財政支援も含め、相談支援専門員の負担軽減につながる施策の検討も欠かせません。
この部分について、市としてどのような考えを持っているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

相談支援専門員の継続的なスキルアップが必要でありまして、基幹相談支援センターが実務に役立つ研修を定期的に開催し、業務効率化や問題解決のスキルを高めているところでございます。
また、困難事例等につきましても、研修の中で意見を共有するなどの負担軽減を図っているところでございます。
さらに、各々の相談支援専門員の負担軽減のため相談支援事業所を増やすことを目的とし、指定には至っていないものの、過去に相談支援従事者研修を受けた職員が所属している事業所には相談支援事業所の開設に向けた働きかけを行っているところでございます。
なお、財政的支援につきましては、財政状況も考えながら検討していきたいというふうに考えております。

既に動いていることも含めて、前向きなご答弁を頂いたと受け止めました。
本市の優れた福祉施策である一方で、相談を受け持つ事業者目線では対応のキャパシティーとして本当に厳しい運営状況であるのがこの相談支援事業です。この改善に取り組むのが市としての責務であり、万が一これを後退させるような行政の動きがあるとしたら、絶対に許されることではありません。
真摯な対応をよろしくお願いします。

ここまで相談支援体制について伺ってきました。
支援を必要とする方々にとって、困ったときに確実につながれる仕組みを整えることは地域福祉の根幹そのものだと思います。
そして、その重要性は平時だけではなく、有事においてより鮮明に表れます。

石﨑遊太

そこで、(2)災害時の要配慮者への対応に移ります。

地震、津波、風水害、停電など、災害はいつ起こるか分かりません。
その際、高齢者や障がいのある方、移動に困難を抱える方など、いわゆる要配慮者の命と安全をどう確保するかは自治体にとって最も重い責務の一つです。
三浦市には、この要配慮者支援のため避難行動要支援者制度が設けられています。
この制度は、災害時に自ら避難することが難しい方を市が把握し、名簿に登録した上で区長や民生委員など地域の支援者に情報を提供し、平時からの見守りや、いざというときの避難支援につなげるための仕組みです。
この制度が適切に運用されているかどうかは災害時の安全確保に直結するだけではなく、地域福祉全体の成熟度を測る指標でもあると思います。
まず、避難行動要支援者制度の対象となる要件、そして現在の登録者数についてお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

まず対象となる要件でございますが、1級または2級の身体障害者手帳の交付を受けている方、それからA判定の療育手帳を所持している方、それから1級の精神障害者保健福祉手帳を所持している方、要介護3以上の認定を受けている方、その他支援を必要としている者で市長が認める方となっております。
登録者数でございますが、令和7年3月末の時点で1,737人というふうになっております。

対象となる要配慮者が1,700人を超えているという事実は、災害時の対応がいかに大きな行政課題であるかを示しています。
この制度が実効性を持つかどうかは名簿の制度と運用が肝になってくるかと思いますが、この名簿の作成方法、更新の流れ、地域の支援者にどのように提供しているのかについて、その運用方法を伺います。

新倉卓保健福祉部長

名簿の作成につきましては、障害手帳をお持ちの方は福祉課窓口で案内をし、申請書を出していただいております。
また、新たに要介護3以上となった方につきましては2月から3月にかけまして市から通知を出し、申請を頂いた方を登録しております。
民生委員・児童委員の見守り活動の中で、災害時に避難支援を必要とする方に制度の案内や申請書の配布をしていただいているところでございます。
なお、更新につきましては年1回更新しておりまして、名簿は会議などの場で区長や民生委員の方々にお渡しをしております。

制度の趣旨からして、地域の支援者に名簿を共有することは不可欠ですが、一方で、要配慮者に関わる情報は極めてセンシティブであり、取扱いには慎重さが求められます。
そこで次に、名簿を提供する際の個人情報の取扱いについてどのような配慮やルールを設けているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

名簿の個人情報保護の観点から言いますと、登録申請を頂く際の同意事項の中で、三浦市区長会、民生委員などに提供することについて同意を得ております。
また、提供の際には、個人情報が記載されているため厳重に管理した上で、日常の見守り・声かけ、避難訓練での活用といった名簿作成の趣旨に従い、有効に活用していただくようお願いしているところでございます。

制度の概要や運用方法について理解をいたしました。
前定例会での一般質問でもカムチャツカ半島沖地震について取り上げましたけれども、自治会の役員や民生委員の方などが避難行動要支援者等に対して、各所でさまざまな対応をしてくださったことに触れました。
改めて、あのときの地震・津波対応における名簿の運用実態についてお聞きしたいと思います。

新倉卓保健福祉部長

沿岸地域の民生委員から、名簿に基づく日常からの見守り活動により把握している高齢者への避難の声かけなどを行ったというふうに聞いております。

災害時だけではなくて、日頃からの名簿の活用に大きな価値があるのだと理解をしました。さきのカムチャツカ半島沖地震の対応について、前定例会の答弁で、市は防災行政無線による継続的な避難指示の放送を行ったとの説明がありました。しかし、聴覚障がいを持った方に防災行政無線の避難指示は届きません。市内の聴覚障がい者数を伺うとともに、災害が起こった際の情報伝達支援の方法をお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

令和7年3月末の市内の聴覚障害数は151人となっております。
聴覚障害者の方には、情報伝達のツールとしては防災情報メールを活用するよう説明をさせていただいております。

先日の質問の中でも複数の議員から、11月に行われたかながわビッグレスキューについて言及がありました。
私自身も参加し、災害時に聴覚障がいのある方にどのような支援が求められるのかを学ぶブースが複数ありまして、障がい当事者の方との会話から非常に多くの気づきを得ました。
防災情報メールのように、障がいのある個々の方へ直接働きかける仕組みももちろん重要ですが、同時に支援する側の意識を高める啓発活動や、地域が日頃から備えておく視点を強化することも欠かせません。
これらの点についても、ぜひ引き続き取組を進めていただきたいと思います。

石﨑遊太

それでは、(3)障がいのある方の地域生活支援に移ります。

先ほど災害時の支援に触れましたが、地域で安心して暮らし続けるためには、平時の生活支援の充実が不可欠です。
特に障害のある方の地域生活を支える上で、移動は非常に重要なテーマです。
通院、買物、社会参加、余暇、地域とのつながり、移動の選択肢があるかどうかで生活の質は大きく左右されるからです。
その入り口となるのが地域生活支援事業の一つである移動支援です。
そこでまず、三浦市における移動支援の基本的な方針と、通学や通勤、通所が移動支援の対象外となっている理由と背景について伺います。

新倉卓保健福祉部長

屋外での移動に困難がある障害者・障害児を対象に外出のための支援を行うことにより、地域での自立生活及び社会参加を促進することを目的とした事業でありまして、屋外での移動が安全かつ円滑に外出できるよう、移動についての支援を行っているところでございます。
主に社会参加に必要不可欠な外出及び余暇活動などの社会活動に関して利用が可能となっております。
国の方針としまして、通勤、営業活動などの経済活動に係る外出ですとか、通年かつ長期にわたる外出及び社会通念上適当でない外出につきましては対象外とされております。
本市ではこれに準じて運用を行っているため、現状では通勤や通所・通学につきましては原則対象外としているところでございます。

国の方針に準じた運用をしているとのことです。
国の制度設計や財政上の考え方として、通学・通勤・通所のように日常的・恒常的に繰り返される移動支援を対象外とすることには一定の理解をしています。
しかし、現実には家族の送迎負担が極端に重くなるケースや、そもそも送迎できる家族がいないケースもあり、国の制度の建前と現場の実態には大きな乖離があると思っています。
だからこそ移動支援は地域生活支援事業であり、一定の範囲で自治体の裁量が認められていると承知をしています。
通勤・通学・通所について、特例的に移動支援を認められるような自治体裁量での運用が本市にあるのか、実際の対応状況をお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

通所・通学につきましては、介護者が疾病や出産などの理由で送迎が困難になる場合の一時利用ですとか、訓練目的での一時利用などにつきましては認めているところでございます。

あくまで期間が限定されたものという前提なのでしょうが、自治体裁量での特例対応を行う余地はあるとのことです。
移動支援の実施形式にはマン・ツー・マンの個別支援型、同一目的地への複数支援を行うグループ支援型、福祉バス等と一体で行う車両移送型などがありますが、本市ではどのような方式で運用しているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

本市では個別対応しておりまして、基本は利用の方とヘルパーの方、一対一としておりまして、グループ対応は行っておらない状況です。

本市のような規模の自治体ですと、やはり個別対応が中心になるのかなと思います。
移動支援には自治体裁量の地域生活支援事業としての支援だけではなく、義務的経費の個別給付として同行援護・行動援護も存在します。
両事業の制度上の違いについて確認をさせてください。

新倉卓保健福祉部長

同行援護・行動援護はいずれも国のサービスでありまして、同行援護は視覚障害により著しい困難を有する障害者等が利用するサービスで、行動援護は知的障害または精神障害により行動上著しい困難を有する障害者等であって、常時介護を有する方が利用するサービスとなっております。
これらのサービスが利用できる方の場合には、移動支援ではなくこれらのサービスを優先して利用していただいているところでございます。

違いについて理解をしました。
ここで実績の確認に移りますが、移動支援の利用者数と延べ時間数について、直近3年間の推移をお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

移動支援の実績につきましては、いずれも延べの数字でございますが、令和4年度は利用者数が413名、時間数が2,667時間。
令和5年度は利用者が356名、時間数が2,754時間。令和6年度は利用者数が387名、時間数が3,443時間となっております。

実績は分かりました。先ほど確認した自治体裁量の部分について、市民の皆様から移動支援拡大の要望を頂くことも少なくありません。
特に障がいを持ったお子様の通学支援への対応については非常に切実なものがあります。
保護者の方の仕事や家庭生活を直撃する問題であり、支援の有無がその子の教育機会にも影響を及ぼしかねないからです。
こうした要望について市は把握をしているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

障害児の方のご家族の方などから、通所・通学におけます移動支援の利用を求める声があるということは承知しているところでございます。

それでは、そうした声に対してどのように応えていくつもりなのか、市の考えをお聞かせください。

新倉卓保健福祉部長

地域の皆様の移動に関するニーズにお答えし、よりよいサービスの提供を目指して日々取り組んでいるところでございます。
現状、ヘルパーの確保の難しさなどの理由で課題があるものの、頂いた貴重なご意見を参考に今後の改善や検討を進めているところでございます。

前向きなご答弁と受け止めました。
ただ、特に需要が高まる朝の時間帯はヘルパーの確保が難しく、仮に市が支援を拡大したくてもサービス供給が物理的に困難になる、そんなジレンマがあることも理解をしています。
背景には高齢者向け通所介護との報酬単価の差など、制度設計上の課題とも言える要素があり、移動支援拡充の難しさは全国の自治体が共通して抱えている問題だと受け止めています。
しかし、繰り返しになりますが、移動支援は当事者のみならず、そのご家族の生活の質にも大きく関わる福祉政策です。
そういった意味で、本市の障がい福祉施策として矜持や本気度が問われる領域ですから、国への要望も含めて、少しでも改善に向けた取組を進めていただきたいと思います。

石﨑遊太

さて、最後の質問項目に移ります。(4)地域福祉活動の担い手についてです。

三浦市地域福祉計画を見ると、本市の地域福祉に関する課題の一つとして活動の担い手不足が挙げられています。
市民アンケートにおいて、「地域の活動に参加していますか」との設問に対し、参加していると回答した方は約20%にとどまるとの記載もあります。
こうした地域福祉活動の担い手不足について、市としてどのように要因を分析しているのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

地域福祉活動の担い手不足の原因としましては、少子高齢化や地域コミュニティーの希薄化、ライフスタイルの変化などが挙げられるというふうに考えております。
地域福祉計画におけますアンケート調査の一例としまして、ボランティア活動の経験がない理由を尋ねたところ、仕事や家事・育児が忙しい、それから活動へのきっかけがない、こういった回答が多かった状況でございます。

過去の一般質問でも申し上げたとおり、自治会加入率が93.8%であることに安住してはいけないという危機意識を改めて共有できたと思います。
市として、これらの要因に対してどのように取り組んでいくのか伺います。

新倉卓保健福祉部長

活動へのきっかけづくりとしまして、民生委員・児童委員の欠員には、区長に対しまして民生委員・児童委員の必要性を訴え、また、関係する団体への支援及び地域包括支援センターにお願いしている生活支援コーディネーターとの打合せを行いながら、新たな地域活動やサービスを構築するために地域活動の担い手を増やしていきたいというふうに考えております。
一例でございますが、第2層協議体におけます情報の共有や意見交換をきっかけに、生活支援コーディネーターとも協力して、ある地区では地域福祉活動の担い手が増え、スクールガードの活動がさらに活性化した、こういったことも伺っております。

私も第2層協議体の意見交換に参加させていただいたことがありますが、活発な議論を通じて、地域福祉の推進に向けた大きな可能性を感じました。
昨日の議論でも触れられていたように、三浦市社会福祉協議会は上宮田1区の地域包括ケア推進のための地域診断書を取りまとめました。
こちらですね。
これまでにも東岡区や日の出、入船、仲崎、花暮地区をはじめ、8地域を対象とした診断書が作成されています。
今回の診断書を読んで、上宮田地区の皆様の地域福祉活動へのご尽力はもちろん、これだけ膨大な調査内容をまとめ上げた三浦市社会福祉協議会に深く敬意を表します。
本当にね、気の遠くなるような、地道で根気の要る編さん作業だったはずです。
冒頭に記載されている地域住民による地域住民のための地域包括ケアシステムの構築、これこそが目指すべき地域福祉の形だと思います。
市長もこちら、ご覧になったと昨日答弁されていましたが、これを読んだ上で、ご自身の言動や、今自分が置かれている状況について何か感じることはなかったのでしょうか。
さすがに何も感じなかったということはないと信じておりますが、この辺りについては最後に確認させていただきます。

話を戻しますが、今後、地域福祉活動を行うための取組として、この地域包括ケア推進のための地域診断書を1つの参考にすべきと考えますが、市としての認識を伺います。

新倉卓保健福祉部長

本市が地域福祉活動を行うための取組につきましても、必要な事項が幾つか記載されております。
今後の取組の参考とさせていただきたいと思います。

むしろ参考にしない手はないと思いますので、うまく活用していっていただきたいと思います。
これらの地域診断を受けて、上宮田1区で防災に関する動きがあったとも聞き及んでいますが、市として把握しているのか伺います。

塚越克己防災危機対策室長

新型コロナウイルス感染症の影響もあったとは考えられますけれども、数年間実施をされていませんでした防災訓練が、三浦消防署の署員の協力を得まして実施をされております。

防災訓練の実施だけではなくて、これまで会議が開催されていなかった旭小学校の避難所運営委員会も再開に向けて動き出していると聞き及んでおります。
前定例会での一般質問でも要望しましたが、こうした取組には市として全面的にバックアップをしていっていただきたいと思います。
改めて、地域福祉活動を推進する上では民生委員や児童委員・ボランティアといった地域住民の人材、そして社会福祉協議会との連携強化が不可欠であると考えています。
この部分について、市としてどのように考えているのかを伺います。

新倉卓保健福祉部長

地域福祉活動を推進する上で、民生委員・児童委員・ボランティア、そして社会福祉協議会の連携は市にとっても重要な事項だというふうに考えております。
また、地域の連携強化は地域の課題解決だけではなく、地域全体が持続可能で魅力的なコミュニティーとなるための重要な要素というふうに考えております。

市としての認識はよく分かりました。
小さい自治体だからこその強みを生かしながら、地域福祉活動の担い手を増やし、手を取り合って地域共生社会の構築に努めていただきたいです。
私も議員としてというよりは、1人の市民としてそんな担い手の一員になれたらと思います。

そして、本定例会での一般質問を通じ、地域福祉の推進において、社会福祉協議会との連携は不可欠であるということを改めて確認することができました。
しかしその一方で、今この本市において、その社協との関係が深刻に損なわれているという現実から私たちは目を背けるわけにはいきません。
市長、昨日の答弁の中で、書面と議場で謝罪をした旨を述べられていました。
この一部分だけを聞くと市民が誤った認識を持ちかねませんので、改めて確認します。
これは前々回の定例会でも、調査特別委員会でも確認されたことですが、市長が書面と議場で謝罪をしたのは、誤解を生む発信があったという1点に対してであり、その投稿によって社会福祉協議会の信用を失墜させたことへの謝罪ではなかった。
この認識でよいのか改めてお聞かせください。

出口嘉一市長

ご質問の件ですけど、私のSNSの発信によって誤解を生む表現があったと。
それによって不快な思いをさせてしまったことに対してのお詫びをさせていただいているということです。

答えになっていないんですけれども、社会福祉協議会の信用を失墜させたことへの謝罪ではなかった、その認識でいいですか。

出口嘉一市長

その点については今、社会福祉協議会の職員会から訴訟が提起されておりますので、この場での言及は控えさせていただきます。

つまりその時点で、自身の無責任な投稿によって社協が被った被害というのを全く認識できてなかったということになるんです。
これは、被害者である社協が求める誠意ある謝罪とは到底言えません。
そして、昨日の答弁では、この半年間一度も社協に出向いて謝罪はおろか対話もしていないという説明がありました。
百歩譲ってですよ、誤解を生じる投稿だったという論拠だけでの謝罪であっても、なぜ直接謝罪や対話を行おうとしないんですか。
その理由を伺います。

出口嘉一市長

現状、社会福祉協議会職員会から訴訟を提起されております。
その中で、判断については慎重にせざるを得ないというふうに考えています。

分かりました。
では少し聞き方を変えます。いつ対話や謝罪に出向くつもりなのですか、お聞かせください。

出口嘉一市長

現時点で明確に期日等は考えておりません。

市長は調査特別委員会の中でも、今この現状を司法の判断に委ねたいと繰り返し述べられていました。
しかし、私はこの認識に強い疑問と懸念を抱かざるを得ません。
これは一般論になりますが、裁判の結果次第で、裁判所は損害賠償の支払いや謝罪広告の掲載を命じることはできますが、被告本人に誠意ある謝罪の気持ちそのものを強制することはできないんです。
つまり、市長がどれだけ司法の判断を待つと言い続けても、どんな内容の判決になろうとも、その結果をもって市と社協の関係が改善するわけではないんです。
むしろ対立が長引き、溝がより深まる可能性すらあります。
そして、昨日の議論でもありましたが、災害はいつ起こるか分かりません。今日、今この瞬間に起こるかもしれません。
しかし現在、本市と社協の災害時の協力体制は崩壊しつつある。
この状況でね、司法の判断を待つなどと悠長なことを言っている場合じゃないんですよ。
もし今日、災害が起きたら、市長はどう責任を取るつもりなんですか。
裁判の内容や結果云々はあなたの個人的な問題でもあるので、私の関与するところではありませんが、実際に市民生活に負の影響が出かけているんですよ。
そのことについて何も感じないんでしょうか。
私は市長としての危機管理能力が欠如しているとしか思えません。

そもそも今回の社協との問題について、市長は自身のSNSや先日行われたという市政報告会を通じて、事の経緯や自身の考えを一度でも公の場で市民に説明したことがありますか。
伺います。

出口嘉一市長

公の場で説明したことがあるかということですけど、これは議会、調査特別委員会でご説明させていただいていると認識しています。

なぜ市長が推進したいという情報公開や情報発信を、こうしたある意味ネガティブなテーマについて全く行わないんですか。
選挙のときから感じていましたが、市長は自身にとって都合のいい情報発信だけを強化し、都合の悪い言論については沈黙する傾向があります。
沈黙するという不作為だけではなくて、意図的に批判的なコメントを封殺したこともありましたよね。
これは市長が私人であったと主張する市長就任前の話ではなくて、市長に就任して半年たった今でも、全くそのスタンス変わっていないじゃないですか。
これがあなたの目指す情報公開なんですか。
あなたが選挙で批判していた情報公開の不足とは何だったんでしょうか。

昨日の答弁でもよくよく分かりましたが、社協との関係改善を望んでいるのは市の職員も同じです。
我々議会も同じです。
そしてもちろん社協自身も同じです。
今、判断のボールを託されているのは間違いなくあなた、市長ただ1人なんですよ。
それを司法の判断に委ねるという判断は、紛れもなく市長としての責任の放棄であり、先延ばし以外の何ものでもありません。

私は議員になってから約2年半、議会の立場から本市の福祉をどう前に進めるかについて、行政とずっと議論をしてきました。
今ここに座っている先輩議員の皆さんはもちろん、あなたの部下としてそちらに座っているね、市職員幹部は私なんかよりもずっと長く、何十年もですよ。
市のよりよい福祉政策のために奮闘されてきました。
もちろんこれはここにいる人間だけじゃなくて、福祉に携わる市内のあらゆる事業者ももちろん同じです。
私がこんなことを言うのがおこがましいぐらいずっとずっと努力を重ねてきたんです。
そんな中で、あなたの身勝手な行動によって、福祉行政が後退しようとしている。
どう前に進めるかではなく、後退を食い止めるための議論をしなければならない今の現状について、私は本当に悔しくて仕方がありません。

あなたの守りたいものは何なんですか。
あなたが守らなければならないものは何なんですか。
市長、その部分を改めて熟慮した上で、今すぐに誠意ある行動を取ることを強く要望します。

石﨑遊太

一般質問を終わります。

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